日本には「投資はギャンブル」だと誤認している人が少なくありません。しかし、インベスコ・アセット・マネジメント株式会社 グローバル資産形成研究所によると「『投機(ギャンブル)』と『投資』には、二つの点で大きな違いがある」のだといいます。今回は、「投資」と「投機」の相違点から、自分と他の人の豊かさを結びつける投資の本質について探っていきます。

 

他の人の損失を自分が利益として受け取る「投機」の代表例が、ギャンブルです。麻雀やポーカーでは、他の人が損をしない限り、自分が利益を得ることができません。競馬やルーレットでは、当たる確率が低いものに賭けることで、大金を得る可能性が生まれます。確率が低い賭けが当たれば、多くの人が損をすることになり、その確率に賭けた少数の人が大金を得ることができます。

 

筆者は、ギャンブルをすべて否定するつもりはありません。スポーツなどと同様、どちらかが勝つか負けるかがはっきりする真剣勝負であり、その過程を楽しむのは個人の自由です。ただし、その行為は他の人と自分のお金、豊かさ、幸せを取引することであり、参加者全員の利益と損失を合計すると「ゼロ」になることだと覚えておく必要があります。楽しむ場合であっても、節度を持つことが重要だと考えています。

 

一方で、「投資」は、ギャンブルを代表とした投機とまったく異なる概念です。投資は、それが正しく行われ、それによって成長と豊かさが生まれることで、投資をした人だけでなく、他の人や社会全体が利益を得て豊かになることができます。そして、間違った投資が行われた場合は、投資した人も社会全体も貧しくなります。このように、運命共同体として同じ船に乗っているのが投資の特徴なのです。

 

投資には色々な種類がありますが、まずは自分への投資である「自己投資」を考えてみましょう。たとえば、何かの研修を受けたり、資格の勉強をして、世の中に役にたつスキルを身につけたとしましょう。それは他の人や社会全体を豊かで幸せにすることになります。その結果、社会が豊かになれば、皆さんの給料があがる可能性が高まります。

 

投資における本質は、他の人の損失を利益として受け取るギャンブルの本質とは異なります。そして、お金における投資においても、まったく同じことがいえます。道路や学校や病院がまだ整っていない国があれば、その国の国債を買うこと(その国にお金を預けることになります)でインフラ作りに貢献すれば、その国は豊かになると同時に、投資した人は金利を受け取り豊かになります。

 

すでにインフラやモノが揃っている先進国では、新規事業の応援や、企業の経営者をモニタリングする機能がある株式投資に多くの人が参加すれば、投資をした人も社会全体も豊かになっていくでしょう。

 

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※本記事は、インベスコ・アセット・マネジメント株式会社のインベスコ グローバル資産形成研究所レポート「100年時代のお金について考える」Vol.10として公開されたものです。

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