実は認知症のタイプにより症状や経過が少しずつ異なり、経過も治療も予後も介護の仕方も違ってきます。正しい診断を受けているか判断するためにも、認知症についての知識を深めておく必要があります。今回は、医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター会長の梶川博氏、医学博士である森惟明氏の共書『改訂版 認知症に負けないために知っておきたい、予防と治療法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、アルツハイマー型認知症について詳しく見ていきましょう。

パーキンソン症状や繰り返す転倒も、特徴の1つ

また、パーキンソン症状(手指が震える、動作が遅い、声が小さい、無表情、歩行障害、小刻みに歩く=小股歩行、安静時に体の一部が震える、筋肉がこわばる、最初の1歩が出ない=すくみ足、転ぶと起きられない)や繰り返す転倒がみられるのも特徴の1つです。

 

ADLの障害があるにもかかわらず、神経学的に病的反射などはなく、頭部CTやMRIで脳梗塞巣もなく、歩行障害の原因となる頸椎や腰椎の異常も認めない場合には、本症を疑う必要があります。

 

その他の特徴に、焦燥感、攻撃性、睡眠中に夢を見て大声で怒鳴ったり叫んだりして布団の上で手足をバタバタさせたりする「レム睡眠行動障害」(睡眠時の異常行動)があります。

レム睡眠、ノンレム睡眠の相違点とは?

レム睡眠とは、浅い眠りのことで、身体は眠っているのに、脳が活発に動いている状態です。一方、ノンレム睡眠とは、脳も身体も深い眠りにある状態です。レム睡眠中の脳波は活動しており、前記の症状は夢をみている最中の発現が多いので「睡眠時の異常行動:レム睡眠行動障害」と名付けられました。

 

抑うつ症状の出現頻度も高く(40%)、その他、しばしば起立性低血圧による立ちくらみ、頑固な便秘、頻尿、尿失禁、発汗過多、寝汗などの「特発性で重篤な」自律神経障害がみられます。図形模写の障害やキツネ・鳩テストの障害も本症を疑う所見です。

 

幻視や認知機能変動は、アセチルコリン濃度低下と関連しているため、コリンエステラーゼ阻害(阻止)薬で認知機能の変動や幻覚、妄想を軽減させることがあります。

 

ただ、レビー小体型認知症の患者さんは、薬に対する過敏性(抗精神病薬を含め)が懸念されるため、患者さんの状態を診ながら、薬の用量を調整しています。

「レビー小体型認知症」治療や介護における注意点

MRI画像では、側頭葉から頭頂葉の萎縮がみられますが、海馬の萎縮はアルツハイマー型認知症に比べると軽度です。脳血流をみるSPECT画像では頭頂側頭連合野、後頭葉の血流の低下が特徴とされています。

 

治療、介護の注意点は、以下のとおりです。

 

1)認知機能が変動しやすいので、リハビリは意識がはっきりしているときに行う

2)転倒しやすいので、十分な見守りが必要

3)血圧の変動が大きく、起立性低血圧によるふらつきや意識消失が起こることがある

4)抗精神病薬の使用により、過鎮静や錐体外路症候群(パーキンソニズムなど)が出現しやすいので、注意が必要

5)幻覚があっても本人が自覚している場合には、完全に抑制しなくてよい場合がある

6)食べ物が飲み込みにくくなった場合には、誤嚥を防ぐとともに、食物を細かく刻む、トロミをつけるなど、調理の工夫をする

 

 

注意:本書で紹介している治療法等は、著者が臨床例をもとに執筆しております。万一、本書の記載内容により不測の事故等が生じた場合、著者、出版社はその責を負いかねますことをご了承ください。 また、本書に記載している薬剤等の選択・使用にあたっては、医師、薬剤師等の指導に基づき、適応、用量等は常にご確認ください。

 

 

※本記事は連載『改訂版 認知症に負けないために知っておきたい、予防と治療法』を再構成したものです。

 

 

梶川 博
医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター会長

 

森 惟明
医学博士

 

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