4 細隙灯顕微鏡検査
細隙灯顕微鏡は、帯状の細い光で眼を照らし、対面に座った医師が顕微鏡でそれを拡大して検査する装置です。角膜や水晶体、結膜などに傷や炎症があればこの検査で発見することができます。白内障の場合は水晶体の透明度、発現している濁りの位置や度合いなどを確認します。
5 眼底検査
眼底とは眼球内部の後面、つまり網膜のある部分を指します。患者さんに検査用の点眼薬を差してもらい、医師が検眼鏡で瞳孔から眼のなかをのぞくと、硝子体やその奥の眼底を調べることができます。
眼底には網膜のほかに血管や視神経などもあり、それらを観察することで緑内障や加齢黄斑変性症などの眼疾患がないか確認できます。緑内障や加齢黄斑変性症を患っている場合、白内障手術をしても思うように視力が出ない可能性があります。術後にどの程度の視力を期待できるか把握するためにも重要な検査です。
6 角膜内皮(ないひ)細胞検査
角膜は、眼球の前面にある透明な膜です。角膜内皮細胞検査では、この角膜にある内皮細胞の数を確認します。角膜には血管がなく、代わりに水分が循環して、角膜に栄養を補給するために働いています。角膜内皮細胞は角膜に栄養を送り込んだあと、不要になった水を排出する役割を担っています。
健康な状態の内皮細胞は、1mm2に2000~3000個の割合で存在します。その数が少なくなったり、細胞の働きが悪くなったりすると、角膜に水分が溜まりやすくなってしまいます。すると本来は透明な角膜が白く濁り、外からの光が眼内に届きにくくなるのです。
角膜内皮細胞は増殖したり、再生したりすることができません。加齢などの影響で徐々に減っていくのですが、白内障手術でも、平均5%程度の角膜内皮細胞が減少するとされています。その変化を確認するためにも、手術前にきちんと計測しておくことが大切です。
ちなみに白内障手術が角膜内皮細胞の数に与える影響の大きさは、超音波の使用時間や使用する場所、発振する方向が関係します。
7 眼軸長(がんじくちょう)検査
眼軸長とは、眼球の最前面にある角膜の頂点から最も奥にある網膜までの距離を指します。眼軸長の長さは、眼の屈折状態を決める大きな因子の一つです。例えば屈折力が同じ眼でも、眼軸長が長いと近視になる傾向があり、反対に短い人は遠視になりやすいのが一般的です。
したがって眼軸長検査の結果は、眼内レンズの度数を決める際の重要な要素です。その測定には長年、超音波を用いる装置が使用されてきましたが、それだと測定誤差が生じることが分かっており、近年では光を用いる「光眼軸長測定装置」の使用が多くなっています。
これは超音波に比べ、圧倒的に正確な測定ができることも特徴です。光眼軸長測定装置には「タイムドメイン方式」と「フーリエドメイン方式」があり、なかでもフーリエドメイン方式はより短時間に効率の高い検査ができます。
8 角膜形状解析
角膜形状解析では、角膜の大きさ(角膜径)、角膜のカーブ(湾曲)の度合いなどを調べます。角膜の大きさとカーブは合わせて「角膜曲率半径」といって、眼軸長検査と同様に、手術に用いる眼内レンズの度数を選択するために重要な検査です。
9 前房(ぜんぼう)深度の測定
前房とは、角膜と水晶体との間にある空間です。この空間が浅いか、深いかによって手術の難易度が変わってきます。これは主に眼軸長測定装置で測定します。また後述する計算式の一部では予測前房深度を計算し、レンズ度数を決定するのに使われています。
10 血圧検査・血液検査
手術を問題なく行えるかどうかを確認するために、下準備として血圧検査と血液検査を行います。このときの採血によって感染症の有無も検査します。