東京23区の「私立中学校進学率」は上昇傾向
東京都教育委員会から「令和2年度公立学校統計調査報告書」が発表されました。それによると、令和2年3月に東京都の公立小学校の卒業者は96,868人で、前年度より2,288人増。私立中学校への進学者は17,859人で進学率は18.4%、前年比0.5ポイント増加となりました(図表1)。
男女比で見てみると、男児の私立中学校進学率は17.23%。それに対して女児は19.72%と、その差は2ポイント以上。女児のほうが優勢となっています。
さらに時系列でみてみると、平成時代が始まった1989年は11.27%で10人に1人程度の進学率でした。そこから徐々に増えていき、1996年には15%を突破。2004~2008年あたりには、17%台に達しました。
しかしリーマンショックによる不景気により公立志向が進み、進学率は減少に転じ、2013年には15.86%と2000年代初頭の水準に戻ります。その後、アベノミクスで日本経済が復調の兆しをみせるなか、私立中学校の進学率も再び増加傾向へと転じ、2019年度は過去最高値を達したのです。
昨今は少子化により、世帯一人当たりの子どもの人数が減少しています。一方で子ども一人当たりの教育費は上昇を続け、「より質のいい教育を受けさせたい」という思いから、中学校受験ブームが起きています。しかし一般層は景気の動向に左右されやすく、経済的に公立か私立かの選択を迫られます。景気による数%の違いは、一般層の志向のブレだと考えられるでしょう。
報告書では行政区ごとに進学先をまとめています。それによると、東京23区平均の私立中学校進学率は23.34%と、東京都平均を約5ポイント近く上回り、区部のほうが私立志向が強いことがわかります。
東京23区「私立中学校進学率」上位5区の顔ぶれは?
23区のうち、平均を上回ったのは15区。そのうち上位5区をみていきましょう。