投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、マーケットレポート・ヘッドライン。日々のマーケット情報を専門家が分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

調査官は重加算税をかけたがる
税務調査を録音することはできるか?
4/17(水)>>>WEBセミナー

 

英国のEU離脱協議は、移行期間の期限を控え大詰めを迎えています。離脱に伴い英国はEU機関へは参加していませんが、EUの関税同盟、単一市場に残りながらEUとの関係を協議しています。仮に何ら合意なく移行期間を終えた場合、英国のみならず、世界的な影響も懸念されるだけに、今後の動向が注目されます。​

EU首脳会議:協議継続か、それとも打ち切りか、ギリギリの交渉が続く

欧州連合(EU)は2020年10月15~16日の日程で首脳会議(EU首脳会議)を開催しています。EUを離脱した英国との関係を討議しています。EUは15日の合意文章で「今後、数週間」協議を継続するとする一方で、英国に自由貿易協定(FTA)締結交渉でのさらなる譲歩を求めました。

 

英国にEUが譲歩を求めることに対し、英国の交渉担当からは不満の声も聞かれますが、今後も交渉を継続するのか、それとも打ち切るのか、16日に表明すると見られます。

どこに注目すべきか:離脱協議、EU首脳会議、移行期間、部分合意

英国のEU離脱協議は、移行期間の期限を控え大詰めを迎えています(図表1参照)。離脱に伴い英国はEU機関へは参加していませんが、EUの関税同盟、単一市場に残りながらEUとの関係を協議しています。仮に何ら合意なく移行期間を終えた場合、英国のみならず、世界的な影響も懸念されるだけに、今後の動向が注目されます。

 

出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]英国のEU離脱に関連する主なイベントの経緯 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

まず、英国のEU離脱に関連するイベントを振り返ると、昨年の英国議会選挙でEU離脱を支持する保守党が勝利したことで、英国のEU離脱の方針は確定され、今年3月からの英国とEUとの協議では離脱後の姿が協議されています。

 

協議は10月2日までに第9ラウンドを数えるまで実施されています。経済から安全保障まで様々な分野の協議が行われる中、政治的合意が一定の分野で見られます。

 

反対に、残っている主な問題は漁業権と公平な競争の確保の問題です。漁業権は今までは英国の排他的経済水域でEUが可能であった漁業を確保するもので、交渉のうえで英国に有利なカードと見られます。公平な競争は英国がダンピングをしないことや補助金で英国企業に有利となる政策をしないよう主にEUが求めている構図です。EUが英国に歩み寄りを求めるも、英国は不満、と報道されています。

 

今回のEU首脳会議が注目されるのは、英国が9月にEUとの協議の期限を、会議の日程に合わせた15日としたからです。協議の継続か、それとも打ち切り(合意なき離脱)となるかが16日に判明すると見られます。もっとも、継続となっても移行期間は年末で、協議合意後の英国、欧州議会での批准手続きから11月前半頃が「現実的な」期限と見られます。

 

16日に英国が協議を続けると表明するかを事前に予想するのは困難ですが、政治動向を反映しやすい為替市場を見る限り落ち着いているように見られます。ただ、景気動向やコロナ感染再拡大懸念から株式市場は軟調です。逆に言えば経済に不安がある中で、今、合意なき離脱を選択する可能性を市場は低いと見ているようです。

 

また11月迄交渉が延びても厳しい交渉が想定されます。それでも、落としどころとして、ゼロか1かで協議を終わらせるのではなく、11月の実質期限までに部分合意なら十分可能との見方が市場で優勢なこともポンドが落ち着いている背景と思われます。ただ、過去、欧州の交渉(や国民投票)の結末は奇々怪々であったこともあり、結果は終わってみないと正直わかりません。

 

q

[図表2]英国ポンド(対ドル)と英株価指数(FTSE100)の推移日次、期間:2019年10月15日~2020年10月15日
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『英国とEUの将来に関する協議、時間切れが近づく』を参照)。

 

(2020年10月16日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

【3/27開催】遺言はどう書く?どう読む?
弁護士が解説する「遺言」セミナー<実務編>

 

【3/27開催】いま「日本の不動産」が世界から注目される理由
~海外投資家は何に価値を見出すのか

 

【3/27開催】「マイクロ法人」超活用術
~法人だからできる節税とは~

 

【3/28開催】「相続手続き」完全マスター講座
~相続人調査、財産調査、遺産分割協議~

 

【3/30開催】次世代のオルタナティブ投資
「プライベートクレジット投資」とは

あなたにオススメのセミナー

    【ご注意】
    ●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
    ●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
    ●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
    ●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
    ●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
    ●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
    ●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
    ●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
    ●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

    人気記事ランキング

    • デイリー
    • 週間
    • 月間

    メルマガ会員登録者の
    ご案内

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    メルマガ登録
    会員向けセミナーの一覧
    TOPへ