コロナの中で中国、プラス成長を確保

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国際通貨基金(IMF)の10月公表の世界経済見通しで中国の20年の成長率予想は年率1.9%と、主要国の中で唯一プラス成長の確保が見込まれていました。7-9月期GDP並びに9月の中国主要経済指標は予想を裏付ける内容と見られます。新型コロナウイルスの早期感染収束、堅調な輸出などが主なけん引役です。ただ、今後若干改善のペースダウンが想定されます。​

中国主要経済指標:7-9月期GDPは4.9%増と、2四半期連続してプラス成長を確保

中国の国家統計局が2020年10月19日に発表した20年7-9月期の実質GDP(国内総生産)成長率は前年同期比で4.9%と4-6月期(3.2%増)を上回りました(図表1参照)。ただ市場予想(5.5%増)は下回りました。

 

四半期、期間:2015年7-9月期~2020年7-9月期 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]中国GDP(国内総生産)成長率の推移 四半期、期間:2015年7-9月期~2020年7-9月期
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

同日に公表された中国の9月の主要経済指標は鉱工業生産が前年比6.9%増と市場予想(5.8%増)を上回り、小売販売も前年比3.3%増と、市場予想(1.6%増)を上回りました。一方で、1月-9月(年初来)の固定資産投資は前年比で0.8%増と市場予想(0.9%増)を下回りました(図表2参照)。

 

月次、期間:2017年9月(失業率は11月から)~2020年9月、前年比 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]中国の主要経済指標の推移 月次、期間:2017年9月(失業率は11月から)~2020年9月、前年比
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:中国成長率予想、製造業、マスク、政策対応

国際通貨基金(IMF)の10月公表の世界経済見通しで中国の20年の成長率予想は年率1.9%と、主要国の中で唯一プラス成長の確保が見込まれていました。7-9月期GDP並びに9月の中国主要経済指標は予想を裏付ける内容と見られます。新型コロナウイルスの早期感染収束、堅調な輸出などが主なけん引役です。ただ、今後若干改善のペースダウンが想定されます。

 

まず、改めて中国経済の堅調さを確認すると、GDP成長率を年初来で見ると1-9月期は前年同期比0.7%増と1-6月期のマイナス1.6%からプラスに転換しました。10-12月期を前に、9月の鉱工業生産や小売売上高が市場予想を上回ったことを考え合わせると、IMFが予想するように、コロナ下の20年であれ、2%前後のプラス成長が見込まれます。

 

中国経済が堅調な要因はコロナの早期感染収束、堅調な輸出、製造業主体の産業構造に加え、内需にも明るさが戻り始めているようです。9月の主要経済指標にはこれらの要因が反映されていると見ています。

 

例えば、鉱工業生産は自動車、産業AI機器、パソコン、鉄鋼製品などの生産が堅調です。また13日に公表された貿易統計でも中国の輸出はマスク(紡織用繊維製品)が引き続き下支えとなっている模様です。中国はコロナに比較的強い製造業に強みがあることに加え、主力商品もコロナにある程度強みのある製品が多いこともプラス要因です。ただ、鉱工業生産の内訳の中で、スマートフォンなどは軟調です。恐らく、米中貿易戦争の影響と思われます。

 

内需にも明るさが見え始めています。9月の小売売上高は失業率の低下を伴い市場予想を上回る回復となりました。10月月初の国慶節の休暇でも、国内旅行の観光客数は前年比8割程度まで回復した模様です。

 

なお、中国当局は金利や預金準備率などの引き下げをほぼ温存する一方、政策対応は9月の社会融資総量が約3.5兆元と市場予想を上回るなど、信用供与を重視しており、逆の見方をすれば政策を温存している面も見られます。

 

中国は景気回復の条件を整えており、今後も成長を想定していますが、海外需要に依存する輸出に若干懸念があります。中国の貿易相手である欧州などコロナの感染動向次第では減速も考えられるからです。また中国経済をさらに正常化に向かわせるには、内需の回復も必要です。仮に8割戻っているとしても、ここからの回復は、コロナの懸念が完全に払拭されてない中、従来の回復ペースは期待し難いと思われます。

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『コロナの中で中国、プラス成長を確保』を参照)。

 

(2020年10月19日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

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ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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