学歴なんて関係ない――。そんな言葉がSNSを中心に話題になっていますが、果たしてそれは本当なのでしょうか。日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、世の中のさまざまな一面がみえてきます。今回は、「学歴格差」についてみていきます。

大卒と高卒の初任給格差は4万円…その差は縮まる?

どれだけ、学歴が重要であるか、それは統計をみれば明らかです。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査結果(初任給*)」をみてみると、大学院修士課程修了の初任給は23万8,9000円、大学卒で21万200円、高専・短大卒で18万3,900円、高校卒で16万7,400円。初任給の分布をみると、大学卒では20万円台が最も多く27.9%、高校卒では16万円台が最も多く37.7%となっています。

 

*通常の所定労働時間、日数を勤務した新規学卒者(原則として調査年3月に学校教育法に基づく高校、高専・短大、大学を卒業した者、または大学院修士課程を修了し修士号を取得した者、もしくは取得見込みの者。ただし大学医学部及び歯学部、専修学校、各種学校、職業能力開発施設等を卒業した者は除く)の6月分所定内給与額(所定内労働時間に対して支払われる賃金であって、基本給のほか諸手当が含まれているが、超過労働給与額は含まれていない)から通勤手当を除いたもの。

 

その差はなかなか縮まるものではなく、2005年から時系列でみていくと、2005年の大卒初任給は19万3,900円、高卒は16万6,600円と、その差4万1,000円でした。以降、その差が一番縮まったのは2010年で3万9,600万円でしたが、2011年には4万5,500円に広がっていることからも、縮小傾向にあったわけではなく、集計方法の違いなどからくる誤差の範囲だということがわかります。おおむね大卒と高卒では、初任給で4万~4万2,000円程度の差が生じています(図表1)

 

出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査(初任給)」(令和元年)より作成
[図表1]学歴別、初任給の推移 出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査(初任給)」(令和元年)より作成

 

ただ高卒で初任給をもらうのは18~19歳、大卒で初任給をもらうのは、22~23歳程度。初任給の差は年齢の差では、と考えられなくもありません。そこで賃金カーブをみてみましょう。

 

大企業に限定し、大学・大学院卒の賃金カーブをみていくと、20~24歳で23万400円。その後、順調に昇給を重ね、50~54歳でピークを迎え、56万4,400円に達します。その後、再雇用や特別職への就任という話も、大企業では珍しいことではないかもしれません。70代を超えても平均賃金、47万6,800円となっています(図表2)

 

一方、同じ大企業でも高卒では、新規学卒者の19歳以下で18万2,700円。その後、大卒と同様に順調に昇給を重ね、 55~59歳でピークを迎え、 35万100円。その後、賃金は下がり、70代では20万9,900円と、初任給並みまで落ち込みます(図表3)

 

出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和元年」より作成
[図表2]大学院・大学卒の賃金カーブ 出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和元年」より作成

 

出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和元年」より作成
[図表3]高卒の賃金カーブ 出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和元年」より作成

 

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