
新型コロナウイルスの流行により、全世界で医療崩壊が相次いだ昨今、「命の線引き」という言葉も取り沙汰されるようになりました。ジレンマに苦悩する医療従事者も多く、医療現場では「医師のマネジメント」が重要になっています。そこで本記事では、愛知医科大学・内科学講座肝胆膵内科学准教授である角田圭雄氏の書籍『MBA的医療経営』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、解説していきます。
相手の承諾を得たいときに使える、2つのテクニック
自身の考え通りに患者が治療に応じてくれないという経験は、医療者なら誰しもご経験のことかと思います。
相手(患者)の承諾を得たいときは、まずわざと大きな要請をして、相手に拒否させてから小さな要請(本来の要求)をすると、承諾を得やすいことが分かっています。このような承諾誘導の手法をドア・イン・ザ・フェイス・テクニック(Door in the face technique:譲歩的要請法)と言います。
わざと大きな要請をして、相手に拒否させてから小さな要請(本来の要求)をすると、相手にはこちらが「譲歩」したように見えます。すると「相手が譲歩したのだから、こちらも譲歩しなければ」という心理が働き、結果的に小さな要請を承諾します。
→上部と下部の内視鏡検査の2つの検査が必要ですと説明します。そうすると、2つの内視鏡検査は少し大変だと、患者が躊躇すれば、では上部内視鏡のみでどうですかと提案します。
私たちの社会には「返報性のルール」というものがあります。「返報性のルール」とは、「他人から何らか恩恵を受けたら、似たような形でお返しをしなければならない」という社会的なルールのことです。このルールは私たちの社会に深く浸透しており、逆らいがたい強制力を持っています。日常的に返報性が働いています。

また、ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック(Door in the face technique)と逆の手法で、フット・イン・ザ・ドア・テクニック(段階的要請法)があります。まずは簡単に受け入れられそうな小さな要求をし、その後大きな要求をするといった手法です。布団の訪問販売などで、買わなくてもいいから話だけでもと言って家に上がり込む手法です。買わなくてもいいから試着だけでもと勧められて、購入に至るというケースはよくあります。
自身の中での一貫性(自己一貫性)を保とうとするために小さな要求をのめば、大きな要求ものもうとしてしまうことを意味します。
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