争族、離婚トラブル、労働問題…弁護士事務所には今日も様々な相談が舞い込みます。そこで本連載では、弁護士法人アズバーズ代表の櫻井俊宏氏が、実際に寄せられたトラブル事例を紹介し、具体的な対策を解説します。 ※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

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「犯罪」として逮捕される可能性は存分にある

4.絵画の著作権侵害

 

本件の場合、ネコタンとネコタスはまったく同じ絵でなく、表情と身体の色が違い、いわゆるコピーペーストである「複製」という侵害方法ではありません。

 

このように本来のものに少し変化を加えてパクることを「翻案」(著作権法27条)といいます。

 

著作権侵害としての「翻案」にあたるかは「創作的な表現部分に変更が加えられており」「表現上の本質的部分の同一性が維持されていて」「これに接する者がもとの著作物の表現上の本質的特徴を直接感得できるか」どうかで判断されます。

 

本件においては、ネコタンが白色で大きな口を広げた笑顔であるのに対し、ネコタスは茶色で微笑んでいる顔とのことですが、造形がほぼ一緒であるのなら、本質的な部分は一緒といえる可能性はあります。

 

しかし、キャラクターそのものではなく「絵」として判断するので、侵害とするためには特定の絵のポーズや背景等もほぼ一緒のものである必要があるでしょう。

 

 

5.商標権とは

 

知的財産権のなかで、商品またはサービスについて使用する商標に与えられる排他的支配権を「商標権」といいます。すなわち、商品の絵柄や名称について、独占的に使用できる権利です。

 

この商標権は著作権等と違って登録制となっています。そこで、ある商品の名称等について違法となるのではないかという疑いがある場合、まずは、商標として登録されているかどうかを調べることになります。

 

特許庁のページで見ることが可能です(特許情報プラットフォーム:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)。

 

本件のブランド会社である〇は、もちろん商標権を有しているので、同じロゴを使っているのであれば、商標権侵害の可能性が高いです。

 

商標権も著作権も、侵害者に対して民事上損害賠償請求ができるのはもちろんのこと、犯罪が成立して逮捕されたり、起訴されたりする場合もあるので、注意が必要です(著作権法119条以下、商標法78条以下)。

 

6.最後に

 

知的財産権にまつわる事例では、軽い気持ちで他人のものを利用している場合が意外に多いです。

 

特に高級ブランドを真似する場合など、会社側はそのブランド力で多大な利益を得ているのであり、知的財産権侵害を重大なものと考えています。そこで、思いもよらず逮捕されたり、高額の賠償請求をされたりすることも、十分ありえます。

 

軽々しく考えるのはやめましょう。

 

 

櫻井 俊宏

弁護士法人アズバーズ代表

中央大学法実務カウンセル

 

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