白内障は、60代で約80%、80代でほぼ100%と、だれもが罹患する病気です。根治には手術が必要ですが、近年では技術面でも飛躍的な進歩を遂げ、安全性は向上しています。とはいえ、重要なのはその後のQOLです。術後に快適な生活を送るには、患者に適合したレンズを、正確に挿入しなければなりません。ここでは、白内障についての正しい知識とともに、最新の術式を紹介していきます。※本連載は、渡邊敬三氏の著書『誤差ゼロを追求する 渡邊式・白内障治療』(幻冬舎MC)より抜粋・再編集したものです。

白内障の種類②…「濁りの場所」による分類

次に「濁りの場所による分類」です。

 

先ほど「濁りの場所により、患者さんに現れる主な症状は異なってきます」と述べました。その場所は、水晶体を前から見た場合、水晶体中心部の「核」、水晶体周縁部の「皮質(ひしつ)」、そして水晶体の後ろ側を覆う嚢(ふくろ)「後嚢(こうのう)」に分けられ、そこに濁りが発症した白内障をそれぞれ「核白内障」「皮質白内障」「後嚢下白内障」と分類します(図表4)。ちなみに水晶体の前面は「前嚢(ぜんのう)」という嚢が覆っており、前嚢と後嚢の両方をまとめて「水晶体嚢(すいしょうたいのう)」とも呼びます。

 

出典:白内障LAB「白内障の種類」
[図表3]水晶体の濁り方 出典:白内障LAB「白内障の種類」

 

 1 核白内障 

 

外部の光は水晶体の中心部にある核の部分を通って眼に入ってきます。核の部分から濁り始めるのが核白内障で、自覚症状が出にくいという特徴があります。主に「眼鏡を変えても視力が改善されない」「色の判別がつきにくい」「遠くが見えづらくなり、近視が進んだ」「なぜか老眼が治ってきた」などの症状が起きます。

 

 2 皮質白内障 

 

水晶体皮質が濁る白内障を指します。発症初期は皮質の周辺部から濁り始めるので自覚症状が現れづらいですが、進行に伴い中心部が濁り始めると、まぶしさ、かすみが顕著となります。皮質白内障の場合、自覚症状が顕著に現れたときには、白内障がかなり進行している可能性が高いということです。「車のヘッドライトなど夜間の光がまぶしい」「明るいところで見えにくくなる」「対象が二重・三重に見える」などの症状があれば、皮質白内障が進行しているかもしれませんので、できるだけ早めに受診することをおすすめします。

 

 3 後嚢下白内障 

 

水晶体の後ろ側を覆う後嚢から濁り始める後嚢下白内障は、アトピー性白内障、糖尿病性白内障、ステロイド剤による薬剤性白内障などに多く見られます。したがって、若年層でも発症するケースがあり、「視力が急に低下した」「明るい場所に出るとまぶしさを感じやすくなった」などの症状を感じたときは注意が必要です。

 

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誤差ゼロを追求する 渡邊式・白内障治療

誤差ゼロを追求する 渡邊式・白内障治療

渡邊 敬三

幻冬舎メディアコンサルティング

手軽に白内障手術を受けられる時代だからこそ正しい知識とクリニック選びで、術後の視力は劇的に変わる! 患者一人ひとりのQOL(生活の質)の向上こそが白内障治療の最大の目的である。 「最善の白内障治療法」を日々追…

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