白内障の種類①…「発症原因」による分類
次に、白内障の種類についてお話ししましょう。白内障にはいくつかの分類法があります。ここでは、白内障の患者さんが耳にする機会が多いと考えられる三つの分類法をご紹介します。すなわち「発症原因による分類」と「濁りの場所による分類」と「濁りの進行度による分類」の三つです。
まず「発症原因による分類」を挙げます。発症原因で分けると、白内障には次の8種類があります。
1 加齢性白内障
「老人性白内障」ともいい、高齢になると発症する白内障です。80歳以上の罹患率がほぼ100%であることは前述のとおりですが、早ければ40代から発症しますので一概に〝老人性〟とはいえません。白内障になった人の実に90%は、この加齢性白内障であるとされています。
2 先天性白内障
生まれたときから発症している白内障です。先天素因(遺伝的なもの)による場合と、母胎内で感染した場合とがあります。先天性白内障は視力の発達が遅れる可能性がありますので、できるだけ早く手術治療を受けることが大切です。なお、この先天性白内障に対し、ほかの加齢性白内障、若年性白内障などを「後天性白内障」と総称することもあります。
3 若年性白内障
20~30代で発症する白内障を若年性白内障と呼びます。若くても発症する理由は詳しく分かっていませんが、後述する紫外線やストレスなどの複合的要因、また潜在的に持っている白内障になりやすい因子などが関係するといわれています。
4 アトピー性白内障
アトピー性皮膚炎の合併症として起きる白内障です。アトピー性皮膚炎との因果関係はまだ解明されていませんが、かゆみのために眼をかいたり、たたいたりする刺激が影響していると考えられます。また、免疫の異常によってアトピー性白内障が発症することもあります。
5 外傷性白内障
眼に怪我をしたり、物が強く当たったりなどの外傷で起きる白内障です。衝撃で水晶体が急速に濁った場合は、ただちに手術が必要です。なかには怪我をしてから数年後に発症するケースもありますので、眼に傷を負った人は定期的に検査を受けたほうが安心だと思います。
6 薬剤性白内障
白内障以外の病気の治療のために処方された薬の成分が引き起こす白内障です。例えば、アトピー性皮膚炎はじめアレルギー疾患の治療に用いられることの多いステロイド剤は、長年、多くの量を使用していると白内障のリスクが高まるという可能性が指摘されています。喘息の内服薬や、呼吸器などに用いられた場合も同様です。
7 糖尿病性白内障
糖尿病は、ブドウ糖をエネルギー源として利用するために必要なインスリンの分泌に異常をきたし、血糖値が慢性的に高くなる病気です。血糖をうまくコントロールできなくなると、水晶体にソルビトール(糖の一種)が蓄積することがあります。この蓄積が合併症としての白内障を誘発しやすくすると考えられています。糖尿病を患っている人は若年層でも白内障の発症率が高く、加齢性白内障の進行も速まる傾向があります。白内障だけでなく糖尿病性網膜症を起こす危険もありますので、定期的に検査を受けて早期発見を心がけることをおすすめします。
8 併発白内障
白内障以外の病気が原因で発症したものを指します。網膜はく離の手術の合併症として、数年後に発症することもあります。