②期限までにまとまらない場合、一旦納税する必要アリ
相続税の申告期限までに遺産分割がまとまらない場合には、一旦、配偶者控除の適用がないものとして納税する必要があります。
たとえば、先ほどの《相続税の配偶者控除の計算》のケースでは、遺産分割が決まっていたから配偶者の納税金額はゼロになりましたが、遺産分割がまとまっていない場合には、遺産を法定相続分で分けたと仮定して算出した税額1,350万円を一旦税務署へ納付しなければなりません。
この場合、「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書とあわせて提出しておくことによって、相続税の申告期限から3年以内に遺産分割がまとまった時に、一旦納めた相続税額1,350万円が還付されます。
申告期限後に遺産分割がまとまった際は、分割がまとまった日の翌日から4カ月以内に更正の請求をする必要があります。
※更正の請求とは
納税者が本来収めるべき税額よりも納めすぎている場合に、「更正の請求書」を提出し、税務署に申告内容を正しいものに訂正してもらう手続きです。税務署で「更正の請求」の内容を確認し、納めすぎた税金があると認められた場合には、その納めすぎた税金を還付してもらうことができます。
③配偶者控除をフル活用した方が「得」とは限らない
「うちはお母さんに全財産を相続すれば相続税はかからないね」と思った方がいたとしたら、その判断、ちょっと待ってください。実は「配偶者の税額軽減」を適用することが必ずしも最適な選択とは限りません。
「お母さんが全財産を相続して配偶者控除を使ったら相続税はゼロなんでしょ?それ以上いい選択肢なんてあるの?」となるでしょう。
たしかに配偶者控除をフルで使えば、今回の相続税額はゼロになるかもしれません。しかし、次のように、5年10年と考えた場合には、相続税の支払いが増える場合があります。
配偶者控除をフルで活用すると損するケース
父の相続では1億円の遺産を全て配偶者である母が取得したとします。すると「配偶者の税額軽減」を適用して納税はゼロになります。
相続税 = ゼロ