ご両親など、身近な親族が亡くなった場合は相続税の申告が必要なことがありますが、その際、「税理士に頼まなくても、自分で申告できるんじゃないか」と考える人もいることでしょう。しかし、もし自分で申告を行った場合、様々なリスクを抱えてしまい、結果として損をする可能性が高くなってしまいます。今回は「相続税申告」の手続きについて解説します。※本連載は、新宿税理士事務所の税理士である坂根崇真氏が、相続税対策の基礎知識について解説します。※本記事は 「新宿相続センター」掲載の記事を転載・再編集したものです。

必ずしも税理士に依頼しなければならないわけではない

相続税の申告は、必ずしも税理士に依頼しなければならない、というわけではありません。なぜなら、相続税の申告は、故人から財産を引き継いだ「相続人」が「自ら」行わなければならないのが原則だからです。

 

しかし、99%以上のケースで税理士に依頼を行います。なぜなら、相続税の申告を自分で行うと、

 

 

・財産に漏れがあったり間違った申告を行うと罰金が発生する

・申告せずに放置しても罰金が発生する

・税金を減らすための優遇措置の漏れが生じ、不必要に多額な税金を払ってしまう

・税務調査が入る確率が高くなる

・お金が絡む問題のため、家族や兄弟の間でケンカが起きやすい

 

こういった問題が生じるからです。

 

もし自分で申告を行った場合、これらをはじめとする様々なリスクを抱えてしまうことから、結果として損をする可能性が高くなってしまいます。

 

相続税の申告には、様々な手続きや作業が必要です。一つずつ、重要なところにポイントを絞って解説していきます。

 

「自己申告」で損をすることも… (画像はイメージです/PIXTA)
「自己申告」で損をすることも…
(画像はイメージです/PIXTA)

相続税の申告が必要か把握する

相続税の申告が必要かどうかは、

 

・相続人が何人なのか

・亡くなった方の財産がどれぐらいあるのか

 

この2点を確認することで、ある程度把握することができます。具体的には、亡くなった方の財産が以下の金額までであれば相続税がかかりません。

 

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

 

亡くなった方の財産と上記の金額を比較し、相続税の申告が必要か不要か、ある程度判断することができます。ただし、相続税がかかる財産は現金や預金などの「お金」に限りません。土地や建物、車や自宅にある家財など、あらゆる財産が相続税の課税対象となります。したがって、上記の金額は、明らかに相続税がかからないかどうかの目安と考えると良いでしょう。

財産や借金などを漏れなく把握する

相続税がかかる財産には様々な種類があります。代表的なものとしては、​

 


・現金や預金

・土地や建物などの不動産

・株式、社債、投資信託

・金

・宝石

・絵画

・保険金関係

・ゴルフ会員権

・自動車

・家財

 

などが挙げられます。

 

預金口座も、複数の銀行に複数の口座があったり、土地も、相続人の方が把握していないものがあることも少なくありません。この時点で見落としや漏れがあると、相続税の計算が間違ってしまい、罰金がかかるリスクを背負うことになります。 また、財産に漏れがあり、あとで判明した場合には、誰がもらうのか相続人同士で揉めるリスクが高くなります。

 

したがって、漏れなく財産を把握することは非常に大事な作業です。財産の把握は、専門家とともに行うと良いでしょう。

 

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