(4)【詮無い話】
意味:何かの問題に、手を打っても仕方がない状態
〇 三年前のことを言っても、それは詮無い話だ。
× 三年前のことを言っても、どうしようもない話だ。
どうしようもないというニュアンスが伝わるかどうか
◯の「詮無い話」は、起こった問題などに対して、何か手を打っても打開策がない、報われることなく無駄である、という意味です。単に打つ手がないということではなく、「対処してみても、どうしようもない」という、投げやりなニュアンスを伴います。「手詰まりになっている」ことを伝えたい時に、×の例ではなく、この表現を使うとよいでしょう。
(5)【機先を制する】
意味:相手より先に行動して、その計画・気勢をそぐ
〇 次の会議では機先を制しないとなかなか難しいね。
× 次の会議では一気に頑張らないとなかなか難しいね。
先を見越して取り組む姿勢があるかどうか
◯の例は、先手必勝、先手を打って相手をコントロールしてしまうという明確な意味があります。仕事でライバルよりも上の結果を目指す時などに、競争を有利にするために、相手より先に行動する時に使います。一方×の例は、何をするのか明確にするのかわかりません。
意味:苦し紛れに思いついた策
〇 あの時は、窮余の一策として決議しました。
× あの時は、わけもわからず決めてしまいました。
ベストではない策であると自覚しているかどうか
◯の例は、苦し紛れの最後の策、最善でない策という自覚があることが伝わります。追いつめられて困ったあげく、苦しまぎれに思いついたニュアンスが含まれています。×の例は、自分が「苦し紛れ」であることさえ自覚がないかもしれません。
安田 正
株式会社パンネーションズ・コンサルティング・グループ代表取締役
早稲田大学グローバルエデュケーションセンター客員教授