社内険悪…「年上の部下」が当然のごとく言い放った唖然の一言

シニア人材と現役社員との間でトラブルが多いという話をよく耳にします。もちろん、シニア人材に限らず、どの世代の社員でもトラブルは起きるでしょう。シニア人材の場合、年齢的に特有の傾向があり、それさえ理解しておけば、たとえトラブルが起きても早めに対処できます。本記事では、シニア人材側の問題点について、ご紹介します。

「俺が若かった頃は…」を押し通すシニアも

「俺にはこんなに実績があるんだ」などと、過去の実績や栄光にしがみついているシニア人材は少なくありません。肩書がはずれた自分の現在価値に気がついていない人は、企業としては使いづらい人材です。

 

上下関係をつくりたがるタイプや、プライドが高くてコミュニケーションを取れないタイプも問題です。

 

現役世代が仕事を教えようとしても、「俺の若かった頃は、こんなやり方をしなかった」と拒まれたら、それ以上教えようがありません。ましてや、「敬語の使い方がなってない」などとシニア人材から叱られたら、「教えるのはこっちなのに」と、現役世代としては面白くないものです。

 

実際、私の会社にも困ったタイプのシニア人材はいました。仮にAさんとしましょう。私の会社の社員は、基本的にシニア人材ばかりなのですが、それでもAさんは上下関係をつくりたがりました。

 

社員はみなコピーは自分で取っているのに、Aさんは「コピー取っておいて」と周りに命令していたのです。命令された側は、部下でもなんでもないので、「なんで、私があなたのコピーを取らなくてはいけないのですか?」と当然反発します。社内の雰囲気は、一時期かなり険悪なムードになってしまいました。

 

「コピー取っておいて」と周りに命令するAさん。 (画像はイメージです/PIXTA)

 

同世代が集まっている会社ですらそういう事態になるので、周りが年下ばかりの環境なら、さらに「自分のほうが目上だ」という態度になってしまうのも無理はありません。現役の社員を年下だからと呼び捨てにしたり、「君ねえ」と失礼な呼びかけ方をしたりするシニア人材もいます。

給与やポストなど、待遇に不満を持つ場合も多い

そして、過去の実績をひけらかして、「俺の価値は報酬だ。報酬で示せ」という人も、企業としては困ります。

 

長い間、日本の会社文化のなかで過ごしてきた人は、一度就職したら、保険、年金、貯蓄など何から何まで会社が面倒を見てくれるという環境に慣れています。そのため、シニア人材にも会社がポストを用意してくれるのが当たり前だと思っていて、待遇が気に入らなければ不満を漏らすばかりで、自分の現在価値を考えないタイプが多いものです。

 

また、先が短く、昇進や昇給がないなかで、成果への期待が小さい仕事をすることに対してモチベーションが維持できないという問題もあります。

過去の実績にしがみつき、熱心に仕事をしない例も

シニア人材の問題点(1)過去の実績、栄光にしがみつきたがる

 

シニア人材を採用するときに障害になるのが、過去の実績や栄光にしがみつきたがる人がいることです。これは経験が豊富であることの裏返しともいえるのですが、過去の実績を過剰にアピールするばかりで、目の前のことに取り組まなくなってしまう傾向があります。

 

「俺が若いときはこうだった」「こんな仕事をして表彰された」と昔の話ばかりするのは、現実から目をそらして、今の自分を受け入れられていないことになります。あるいは、「自分をもっと評価してほしい」という気持ちが強いのでしょう。

 

もちろん、過去の成功があるのは素晴らしいことで、プライドを持つのも大切です。それを否定してしまうと、その人の人生そのものを否定してしまうことにもなりかねませんし、それは私の望むところではありません。

 

しかし、過去の栄光にしがみついてばかりいては仕事ができませんから、相手を尊重しつつも、気持ちを切り替えて前に進んでもらえるようにすることが、企業側とシニア側の双方に求められます。

 

一芸に秀でるものは多芸に通ずという言葉がありますが、何かに秀でようと努力をしたことがある人は、どうすれば上達できるかというコツをつかんでいます。そのため、新しいことを始めても、比較的早く上達できるのです。

 

「営業で3年間もナンバー1だったという実績のあるあなたなら、営業職を知り尽くしているのだから、営業事務でも力を発揮できるのではないか。営業マンが何を望んでいるのかが、誰よりも分かるのではないか」と相手の実績を認めつつ、今の仕事に注力できるように導けば、目の前のことに取り組むことができるようになります。

 

一流のスポーツ選手が勝負の勝ち方を知っているように、ビジネスでも一度成功した経験のある人は、成功の仕方を知っています。

 

プライドを尊重しつつ、「一つの成功をした人は、他の分野でも成功できる」という点を分かってもらえれば、過去の栄光にしがみつくこともなく、新しい場所でも力を発揮できるでしょう。

 

過去の栄光にこだわりがちなシニア人材には、例えば1日のうちに10%ぐらいは過去を振り返ってもいいと思いますが、90%はこれからのことを考えていただきたいところです。明日、明後日のことだけでなく、2年後、3年後のことも考えてほしいというのが私の希望です。

上下関係をつくりたがるシニア

シニア人材の問題点(2)上下関係をつくりたがる

 

当社にはさまざまな分野で実績を築いてきたエキスパートが集まっていますが、上司と部下という関係は一切ありません。当社での勤続年数が長い人が上司になるのではなく、専門分野での知識がより豊富な人がマネジメントする立場になるということでもないのです。管理職のポストを一切つくっていないので、皆が同じ立場です。

 

それでも、自然と互いに尊敬し合い、認め合っているので、「うちの会社では、この分野の第一人者は○○さんだね」という雰囲気になっています。

 

ところが、前述したAさんが入社し、上下関係をつくろうとしたため、社内のバランスは崩れてしまいました。

上の立場の人間が間に入り、素早く対応することが重要

実はAさんのようなシニア人材は少なくありません。

 

シニア人材は、定年前は年下の社員から気を使ってもらう立場にいた人が多いので、他人に配慮をしたり、努力をして人間関係をつくったりしなくても済んでいた人もいるでしょう。新しい職場に移っても、「自分のほうが偉い」という態度を取るので、周りの人から協調性がないと見なされ、敬遠されてしまいます。

 

自分は仕事ができたという思いが強い人ほど、他人の意見を聞かなかったり、過去のやり方を押し通そうとしたりするなど、チームプレーを拒む傾向がよくあります。正確にいえば、「自分の望むチームプレーを周りに求める」ということでしょうか。自分の意見を押し通そうとすると、いわゆる「空気が読めない人」だと思われてしまいます。

 

人間関係で問題が起こりそうなときは、経営者など上の立場にある人が間に入るなどして、なるべく早く対応することが重要です。シニア人材に対して、今は上の立場ではないのだと分かってもらうしかないでしょう。

 

社内の人間関係が良好で雰囲気がいいことは、仕事をするうえで大事な条件の一つですから、経営者がつねに目を配っていなければならないポイントです。

基金運営研究所株式会社 代表
一般社団法人年金基金運営相談センター 理事長
株式会社CN総合コンサルティング 代表
 

1973年に慶應義塾大学を卒業後、都市銀行に入行。不動産や企業年金等幅広い業務に従事し、業績向上に貢献する。54歳で関連会社に転籍、定年退職まで勤め上げる。2008年、61歳で起業。基金運営研究所株式会社を設立する。2012年には一般社団法人年金基金運営相談センター理事長に就任。企業年金のコンサルティングを行うかたわら、不動産や保険代理、投資家に対する運用商品の紹介、相続対策、M&A等へと事業を拡大し、2013年に株式会社CN総合コンサルティングを設立。各分野の専門知識をもった22名の定年後シニア人材を雇用、戦力化し、黒字経営を続けている。義理人形を重視した誠実な仕事が支持されており、数十年来の取引先も多い。モットーは「生涯現役」。

著者紹介

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本連載は、2017年5月29日刊行の書籍『シニア人材という希望』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

シニア人材という希望

シニア人材という希望

中原 千明

幻冬舎メディアコンサルティング

超高齢社会の到来とともに、日本人の働き方は大きく変わる――。 都市銀行でマネジメント職を歴任。定年後に起業し、多数のシニア人材を雇用する経営者が語る“新しい労働の在り方"とは? 2013年4月1日、高年齢者雇用安定…

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