シニア人材と現役社員との間でトラブルが多いという話をよく耳にします。もちろん、シニア人材に限らず、どの世代の社員でもトラブルは起きるでしょう。シニア人材の場合、年齢的に特有の傾向があり、それさえ理解しておけば、たとえトラブルが起きても早めに対処できます。本記事では、シニア人材側の問題点について、ご紹介します。

体力・記憶力の低下など、健康面に不安がある場合も

シニア人材の問題点(6)健康、体力面で劣る

 

若い人と比較して、健康面に不安がある方が多い、体力面で劣るというのはシニア人材の最大の弱みです。

 

集中力、瞬発力、持久力のどれをとっても、若い世代には敵かないません。だんだんと筋力が衰え、体の動きが鈍くなるし、物事を認識する力や記憶力も低くなるのがシニア世代です。

 

高血圧、糖尿病などの慢性疾患は若い世代よりもシニア世代に圧倒的に多いですし、視力や聴力の衰えも現れてきます。健康な人であっても、若い人より脳梗塞やガンなどを発症するリスクが高くなっていることは間違いありません。

機械の操作や運転など、危険を伴う作業には注意が必要

しかし、年齢だけで身体能力が衰えていると決めつけるのは間違いです。

 

イギリスのロックバンド、ローリング・ストーンズはメンバーが平均年齢70歳を超えても、世界中でコンサートツアーを行い、ファンを熱狂させています。2時間以上ステージ上を駆け回るミック・ジャガーの引き締まった体と体力は、若者に負けているとは思えません。

 

老化は誰にでも訪れるものですが、運動、食事、飲酒などの生活習慣や、人との交流が活発で生きがいのある毎日を送るなどの生活環境によって、ある程度は防げます。これは年齢を重ねるほど、個人差が大きくなる部分でもあります。

 

問題となるのは業務に支障をきたすかどうかです。薬やメガネ、補聴器などで対処できるうちは問題ありませんが、機械の操作や自動車の運転など危険を伴う作業をする場合は特に注意が必要です。

 

70歳までしか働けないか、90歳まで働けるかというのは、人によって違うので一概にはいえませんが、シニア人材は採用したあと、働いてもらえる期間が短いことも弱みの一つにはなります。

 

ただし、若い社員でも採用後すぐに辞めてしまうケースがありますから、それほど重大な弱みとはいえないでしょう。

 

本連載は、2017年5月29日刊行の書籍『シニア人材という希望』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

シニア人材という希望

シニア人材という希望

中原 千明

幻冬舎メディアコンサルティング

超高齢社会の到来とともに、日本人の働き方は大きく変わる――。 都市銀行でマネジメント職を歴任。定年後に起業し、多数のシニア人材を雇用する経営者が語る“新しい労働の在り方"とは? 2013年4月1日、高年齢者雇用安定…

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