争族、離婚トラブル、労働問題…弁護士事務所には今日も様々な相談が舞い込みます。そこで本連載では、弁護士法人アズバーズ代表の櫻井俊宏氏が、実際に寄せられたトラブル事例を紹介し、具体的な対策を解説します。 ※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

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「夫にも相手の女にも慰謝料請求」はできるのか?

2 不倫における慰謝料請求

 

一般的に不倫された被害者が離婚することになってしまった場合は、賠償金額が総額150万円以上になります。不倫があったものの、被害に遭った方が許して婚姻生活が続く場合だと100万円以下が目安です。

 

よく依頼者の方にも言われることですが、「意外と少ないな」と思った方も多いかもしれません。

 

3 不真正連帯債務とは

 

事例の夫と相手方の女性は、不法行為(民法709条)に基づいて妻から損害賠償を請求される立場にあります。

 

このようなケースですと、夫と相手の女が一体として行った1つの不法行為に対し損害賠償を請求できるというのが通常の賠償請求の方法です。「夫に対し150万円、相手の女に対し150万円」といった請求はしません。

 

この一体とした1つの不法行為につき損害賠償を負うことを「不真正連帯債務」といいます。

 

たとえば150万円の不真正連帯債務を負うと、妻は夫と相手の女に対しどちらにも150万円を請求できます。ただし、どちらが支払ってもよいので、夫または相手の女のどちらかが支払った部分に関しては、一体として債務が減る関係にあります。

 

なお、不貞相手である相手の女の債務は、不貞という不法行為があったことを知ったときから3年で時効により消滅します(民法724条)。しかし夫の債務は、妻と夫が離婚してから6ヵ月が経過するまでは時効で消滅しないことは注意が必要です(民法159条)。

 

 

4 賠償額の基準について

 

前述のように、賠償額について「そんなに少ないの…」という趣旨をよく伝えられます。

 

増額するケースとしては、婚姻生活が長く円満に営まれていたにも関わらず不貞をされてしまったこと、実際に不貞の期間が長く頻度が多かったこと、妊娠までしてしまう不貞関係であったこと等があります。裁判における判決の場合、これ以外の要素ではあまり上下しません。

 

不倫をしているような気配があるのに証拠がなく、証拠を得るために探偵を雇った場合、その分の費用も基本的には認められます。ただし、すでに証拠があり、次なる証拠を探した場合は認められにくいこと、全額が認められるわけではなく相当額しか認められないことには注意が必要です。

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