価値ある「資産」が「遺品」になってしまう前に
■生前整理することの大切さ
生前にご自身の遺産整理をしておくことによって、それを引き継いだご家族が、後になって処分するのに苦労したり、今お伝えしたような被害に遭って嫌な思いをしたりすることがなくなります。そしてまた、相続の場面で起こりがちな争いの種を減らすことにもつながります。実際、ご遺族が高価な遺品を奪い合い、揉めて収拾がつかない状態になってしまったケースを私はこれまで見てきました。
そして何より想像してみていただきたいのは、あなたがずっと大切にしてきた価値のあるモノ、それがもし、自分がいなくなったらどうなるのかということです。自分にとって思い入れのあるモノが、その価値を適正に認められないまま不当に処分されたり、あるいはそうした価値のあるモノを遺したがために、相続争いを引き起こすことになってしまったり……。いずれも可能性がないとは言い切れないのです。
相続が発生し、そのご遺品がどのように扱われるのかというのは、とても大切なことです。今お持ちの価値ある「資産」が「遺品」になってしまう前に、それらをどうしたいのか考え、売る、売らないにかかわらず、ご家族にその価値を伝えておく、あるいは、あなた自身がその価値を把握するなど、きちっと整理しておかれることを強くお勧めします。
そして、売るか売らないかの判断についてですが、もし、そのお品物を本当に受け継ぎたいと思い、大切にしてくれるご家族がいらっしゃるのであれば、継承されることに賛成です。しかし、そうでない場合には、本当に必要な方へと価値を交換する形で「売却」されるというのも、一つの選択肢だと思います。