いつの時代もなくならない相続トラブル。本記事では、被相続人が生前対策を怠った結果、大切にしていたものが思わぬ方法で処分されてしまったケースを見ていきましょう。『円満相続をかなえる本』(幻冬舎MC)より一部を抜粋、再編集して紹介します。

「そろそろ遺品を整理しようかな」で悲劇が…

夫が亡くなって1年が過ぎ落ち着いたなかで、Dさんはそろそろ部屋を片付けようと思い立ちました。部屋には夫が集めるのが好きだった茶道具や美術品が遺されています。しかし、置いたままでは整理がつかないため、インターネットで見つけた不用品回収をしてくれる業者を依頼しました。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

そして、回収しに来た当日、業者はこう話しました。

 

「不用品回収・片付け費用は合計で〇円になります。あとは、一応こちらの焼き物や絵画は値がつきますが、まとめて5000円くらいにしかなりませんし、こちらで処分いたしますね」

 

そのときDさんは、部屋が綺麗さっぱりしたことで、処分した古美術品に関しては特に気にもしておらず、業者が言ったことにも疑問を持ちませんでした。しかし、それから数か月が経って、このとき、ほとんど処分価格同然で回収された茶道具、絵画が、実は100万円で取引されていたことが判明したのでした。

 

後から知ったら、ご依頼者はどう思われるでしょうか? こういった問題が起きてしまうのは、回収してもらう側も、回収する側も、その品物の価値を知らないからです。

 

買取する業者側とすれば、すべての商材に対して価格や知識などを把握するのは非常に難しいことかと思いますが、「知らない」で済ませてしまうのは、プロとして失格です。見方によっては、利益だけを考えた、詐欺に近い行為であるともとらえかねません。

 

次ページ価値ある「資産」が「遺品」になってしまう前に

本記事は、2017年9月22日刊行の書籍『円満相続をかなえる本』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、予めご了承ください。

円満相続をかなえる本

円満相続をかなえる本

石川 宗徳,森田 努,島根 猛,佐藤 良久,近藤 俊之,幾島 光子

幻冬舎メディアコンサルティング

「対策が難しい相続」に悩む人に向けてプロフェッショナルが事例とともに分かりやすく解説。大切な資産と人間関係の守り方教えます! 「相続登記と遺言を行なうメリットってなんだろう?」「相続した不動産、売るべき?売ら…

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