「駆除すべき対象としてしか見ていなかった生き物に対して、ネズミさんたちと呼びたくなるほどに親しみを感じている」「解き明かして得たネズミさんたちの習性が、今後のドブネズミ駆除に役立つのであれば、私にとってこれ以上喜ばしいことはない」――ネズミ捕獲のプロ・山﨑收一氏は書籍『捕獲具開発と驚くべきネズミの習性』(幻冬舎MC)で、そう語っています。

1つの捕獲具でネズミ複数匹の捕獲を狙い…

木に登って餌を探せるクマネズミは森林での生活に適応していて、小笠原諸島のうち、人家の少ない島に生息するクマネズミは人と共存しなくても森林地帯で充分生活することができていると聞いたことがあり、今回の観察でなるほどと思った。

 

夜間に強い風が吹くと、翌日には拾いきれないほどの銀杏が落ちている。冬に入る前の限られた時期に食料が大量に手に入った時、クマネズミはその食料をどうするのだろうか?

 

人と関わりを持たないクマネズミの生活に思いをはせたとき、天井裏の大量の銀杏の殻は冬を乗り越えるためにわざわざ持ち込んだ結果なのではないかという疑問が湧いて来た。

 

食べきれないほどの食料があった場合、野ネズミ同様、クマネズミも貯穀性を持っていると考えた方が良さそうである。しかし、種皮のついたまま持ち込んだのでは和室は銀杏臭くなり、下にいる人は気が付くはずである。

 

では、どの段階で持ち込んだのだろう? 1枚の写真から想像が膨らむ。長い余談である。

 

1月22日、目撃例のある建物外部の犬走りの部分にドブネズミ捕獲で用いた捕獲具を使ってテストを行うことにした。下に4箱上に3箱の合計7箱を2段に積み上げて設置し、餌付けから始めた[写真2]。

 

[写真2]
[写真2]

 

前回行ったドブネズミ捕獲では敷地が広く設置可能な場所が多かったが、例えば店舗内のような場合では設置できる場所が限られていて、一斉捕獲は難しくなる。そこで、1つの捕獲具で複数匹捕獲できる捕獲具を作って、それが可能かどうかを確認する必要があると思った。

 

今回、もう一回り大きい捕獲具を使用して、複数匹捕獲できるよう改良を加えた仕掛けを1台作った。入口を狭くした仕掛けの横に、一方通行の入り口をもう1つ設けたのだ。誘因効果を上げるため、奥にパンの小片をたくさん入れて、7箱とは少し離れた物置の入り口に設置して経過を観察した。

次ページ結果は…?ドブネズミとは明らかな違いが!
捕獲具開発と驚くべきネズミの習性

捕獲具開発と驚くべきネズミの習性

山﨑 收一

幻冬舎メディアコンサルティング

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