ご両親など、身近な親族が亡くなった場合は相続税の申告が必要なことがありますが、その際、「税理士に頼まなくても、自分で申告できるんじゃないか」と考える人もいることでしょう。しかし、もし自分で申告を行った場合、様々なリスクを抱えてしまい、結果として損をする可能性が高くなってしまいます。今回は「相続税申告」の手続きについて解説します。※本連載は、新宿税理士事務所の税理士である坂根崇真氏が、相続税対策の基礎知識について解説します。※本記事は 「新宿相続センター」掲載の記事を転載・再編集したものです。

相続人がだれになるのかを確定させる

故人の財産を誰が引き継ぐことになるかは、相続人を確定させ、話し会いで決めなければなりません。

 

◆父が亡くなったケース

 

[図表1]父が亡くなったケース出典:あんしん相続税(https://tax.brushmaker.co.jp/souzokuzei/shikata/)

 

 

上記のように父が亡くなったケースでは、母と長男、次男が相続人となります。財産を引き継げる権利は、母が1/2、長男、次男がそれぞれ1/4です。

 

◆母が数年前に他界しており、父が亡くなったケース

 

[図表2]母が数年前に他界しており、父が亡くなったケース出典:あんしん相続税(https://tax.brushmaker.co.jp/souzokuzei/shikata/)

 

母が数年前に他界しており、今回父が亡くなったケースでは、長男と次男がそれぞれ1/2の財産を引き継げる権利があります。

 

このように、誰が相続人になるかを確認し、そのうえで、だれがどの財産を引き継ぐかを決めなければなりません。したがって、亡くなった方の死亡から出生までの一連の戸籍をさかのぼって、 だれが相続人になるかを法的に確定させなければなりません。

 

なお、相続人の確定は一般的な家庭ではあまり問題ありませんが、中には複雑なケースも多くあります。たとえば、

 

・相続税対策の一環として養子縁組を行っているケース

・親に隠し子がいるケース

・離婚や再婚をしているケース

・子どもが既に他界しているケース など

 

このようなケースでは、相続人の確定はむずかしくなります。

誰がどの財産をもらうか決める

相続が起こった際、故人の財産は、遺言書があれば原則として遺言書通りに財産をわけることになります。しかし、遺言書が無ければ、相続人全員の話し合いによって、だれがどの財産をもらうかを決めなければなりません。

 

一般的に、相続でもめごとが起きやすいのはこの遺産分けの話です。6,000万円の遺産があり、すべて「お金」であれば話が早いです。なぜなら、

 

・兄に3,000万円、弟に3,000万円

・兄に4,000万円、弟に2,000万円

 

こういった分け方が可能だからです。

 

しかし、たとえば実家などの不動産が遺産に含まれている場合、適正な価値の算定が容易ではありません。不動産屋の買取価格、相続税評価額、固定資産税評価額など、不動産には色々な価値の算定方法があるからです。

 

また、「兄弟2人とも実家がいらず、お金が欲しい」というケースもありますし、 「兄が実家を継ぐので、弟は実家を継がない分もっとお金が欲しい」。こういったことで揉める可能性もあります。特に、兄弟が多いと、どの財産を誰がもらうのかを決めるときに揉めやすくなります。

 

揉めてしまったら弁護士が介入することになりますが、できればそうなる前に、円滑に手続きを進めたいものです。そうならないよう、最初から専門家が関与することで、不毛な争いを未然に回避することが重要です。

 

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