本記事では『相続大増税の真実』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、相続トラブルについて解説します。「遺言書さえ書いてくれていれば…」と経験済みの方も多いかもしれません。悲しい結末を防ぐためにも、過去の事例を見ていきましょう。

遺言書さえ作成していれば防止できたトラブルは多い

今回は、遺言書がないばかりに相続争いに発展してしまった事例をいくつか紹介しましょう。

 

●子どものいない夫婦。夫が遺言書を準備せずに病死。夫の姉が相続人として現れる

 

子どものいない夫婦で夫が病死し、夫の姉が相続人として現れたFさん夫婦は、妻が夫より5歳上で、夫は初婚、妻は再婚で子どもはありませんでした。人も羨む仲の良い夫婦でしたが、職場のストレスからか夫が重い腎臓病を患い、人工透析を余儀なくされています。それ以降、妻の献身的な介護を続けましたが、その甲斐もむなしく夫は亡くなってしまいました。

 

 

仲の良い夫婦だった(※写真はイメージです/PIXTA)
仲の良い夫婦だった(※写真はイメージです/PIXTA)

 

夫婦は自宅のほかに少々の蓄えがありましたが、相続税がかかるほどでもないと話し合い、夫もその面では安心して遺言書は作成していませんでした。

 

夫の死後、妻が夫名義の預金を下ろしに銀行に行ったところ、戸籍謄本や遺言書、遺産分割協議書が必要と言われます。そこで書類をそろえるうち、遠方に住む夫の姉2人が相続人になると知りました。

 

実は、2人の姉はFさん夫婦の結婚に反対していました。夫は初婚である一方、妻は5歳年上でさらに再婚です。その条件を義姉がよく思わなかったのです。しかしFさん夫婦はそんな姉の反対に耳をかさずに結婚したのです。それ以降、Fさん夫婦と義姉の関係は悪化していました。

 

そうした経緯があるなか、妻が義姉のもとを訪ね、必要書類に印鑑を押してもらう必要があったのです。やはり義姉にとってはいい気はしないでしょう。妻はなかなか印鑑を押してもらえず、遠路を何度も往復することになりました。

 

最終的には義姉2人に100万円ずつ渡して決着したものの、「夫が遺言書さえ書いてくれていたら……」と悔やむ結果となりました。夫が遺言書を作成し、「妻に全財産を相続させる」と書いていたら、残された妻が苦労せずに済んだのです。

 

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    本連載は、2013年12月19日刊行の書籍『相続大増税の真実』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    相続大増税の真実

    相続大増税の真実

    駒起 今世

    幻冬舎メディアコンサルティング

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