本記事では『相続大増税の真実』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、相続トラブルについて解説します。「遺言書さえ書いてくれていれば…」と経験済みの方も多いかもしれません。悲しい結末を防ぐためにも、過去の事例を見ていきましょう。

「父さんの財産はいずれ僕のもの」…まさかの事態に

父の遺産を相続した義母が亡くなる。遺言書がなく「特別縁故者」の申立てをする息子

 

Gさんの父は妻の死後に再婚しました。その後、父が亡くなり、不動産と現預金の大半を義母が相続しました。Gさんは家族でアメリカに住んでいますが、父の死後に義母が体調を崩したため、年に数回は日本に帰国し、介護の段取りをしたり、入院の手続きをするなどの面倒を見てきました。

 

 

このたび、その義母が亡くなりました。義母には子どもがなかったため、Gさんは自分が相続できると考えていました。ところが、義母の姉の子どもが1人存在し、その人が相続人になることがわかりました。その相続人には弁護士を通じて相続放棄をしてもらいましたが、義母とGさんは養子縁組をしていなかったため、Gさんには相続権がありません。

 

そもそも、Gさんの父が亡くなった際、老後資金のためにその全額を義母が相続しました。Gさんにとってみれば、その財産は父のものであり、いずれは自分のものになると考えていたのです。

 

しかし、法律上は相続人の不存在ということになり、特別縁故者の申立てをすることになってしまったのです。

 

特別縁故者とは、相続人ではないものの、被相続人と特別の関係にあった人のことをいいます。被相続人に相続人がいないと確定してから3ヵ月以内に申立てを行い、家庭裁判所が特別縁故者と認めた場合、財産の全部または一部を相続できます。

 

現在、Gさんは特別縁故者の申立ての手続き中ですが、結果が出るまでに相当な時間を要するといわれています。その間、アメリカから日本に何度も帰国しなければなりません。父親が残した資金も使えず、特別縁故者として認められなければ手間とコストも無駄になります。Gさんは生前に遺言書を書いてもらっていればよかったと反省しきりです。

 

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本連載は、2013年12月19日刊行の書籍『相続大増税の真実』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

相続大増税の真実

相続大増税の真実

駒起 今世

幻冬舎メディアコンサルティング

2013年度の税制改正による「基礎控除の4割縮小」と「最高税率の引き上げ」で、これまで相続税とは無縁と思っていた一般家庭にも、相続増税の影響が直撃する可能性がでてきました。 「今すぐ節税をはじめなければ、とんでもな…

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