「父さんの財産はいずれ僕のもの」…まさかの事態に
●父の遺産を相続した義母が亡くなる。遺言書がなく「特別縁故者」の申立てをする息子
Gさんの父は妻の死後に再婚しました。その後、父が亡くなり、不動産と現預金の大半を義母が相続しました。Gさんは家族でアメリカに住んでいますが、父の死後に義母が体調を崩したため、年に数回は日本に帰国し、介護の段取りをしたり、入院の手続きをするなどの面倒を見てきました。
このたび、その義母が亡くなりました。義母には子どもがなかったため、Gさんは自分が相続できると考えていました。ところが、義母の姉の子どもが1人存在し、その人が相続人になることがわかりました。その相続人には弁護士を通じて相続放棄をしてもらいましたが、義母とGさんは養子縁組をしていなかったため、Gさんには相続権がありません。
そもそも、Gさんの父が亡くなった際、老後資金のためにその全額を義母が相続しました。Gさんにとってみれば、その財産は父のものであり、いずれは自分のものになると考えていたのです。
しかし、法律上は相続人の不存在ということになり、特別縁故者の申立てをすることになってしまったのです。
特別縁故者とは、相続人ではないものの、被相続人と特別の関係にあった人のことをいいます。被相続人に相続人がいないと確定してから3ヵ月以内に申立てを行い、家庭裁判所が特別縁故者と認めた場合、財産の全部または一部を相続できます。
現在、Gさんは特別縁故者の申立ての手続き中ですが、結果が出るまでに相当な時間を要するといわれています。その間、アメリカから日本に何度も帰国しなければなりません。父親が残した資金も使えず、特別縁故者として認められなければ手間とコストも無駄になります。Gさんは生前に遺言書を書いてもらっていればよかったと反省しきりです。