「長野県」は1975年以降、常に平均寿命の上位にランクインし、よくその理由が考察されています。野菜の摂取量が多い、喫煙率や肥満率が低い、高地だから自然と内臓が鍛えられる――。「まさか…」と思える考察もありますが、県が一体となって進めた様々な取り組みによるところが大きいといわれています。特に元々雪国で塩分摂取量が多く、脳卒中の比率が高い地域だったため、行政が直接、調理指導・減塩指導を行ったことで、住民の食生活が改善。平均寿命が飛躍的に伸びるきっかけになりました。
高齢者の健康意識は?健康維持のために何してる?
厚生労働省による同調査では、「主な年齢の平均余命」も算出しています。たとえば「希望にあふれる20歳、平均すると、あと何年生きられるか?」というと、男性であと61.16歳、女性であと67.33歳。「働き盛りの40歳、平均すると、あと何年生きられるか」というと、男性であと41.8歳、女性であと47.7歳となっています。
20歳、そして40歳というと、老後の健康状態などイメージできない年代でしょう。全国の55歳以上にリサーチを行った、内閣府による「高齢者の健康に関する調査」によると、「健康による日常生活への影響」が「ある」と回答したのは、全体の1/5。影響としては「重い物の移動が困難」が25.3%、「立つ・座るが困難」が14.6%、「階段の上り下りが困難」が13.6%となっています。
高齢者の80%は、健康的で日常生活に特に支障はないといえますが、健康だからこそできる外出は「ほとんど毎日」が68.7%で、次いで「2~3日に1回」が21.7%。「ほとんど外出をしない」は、2.2%にとどまっています。また親しい友人が「たくさんいる」は24.1%で、「普通」「少しいる」を合わせると、9割以上にのぼります。一方で「いない」という回答も6.7%あり、少数ながら孤立する高齢者の存在が明らかになっています。
また健康のために心がけていることとして、「栄養バランスのとれた食事」が59.4%でトップ。「定期的な健康診断」が53.3%、「十分な睡眠、休養」が53.0%、「体を動かす(散歩やスポーツ」47.6%と続きます。また精神的な健康も重要と考えるむきがあり、「気持ちを明るくもつ」が47.4%と半数近く占めるのが、興味深いところです。
体を動かすこととしては、高齢者の運動としてパッと頭に浮かぶ「ウォーキング」が29.8%、「運動(ジョギング、水泳など)」25.9%。さらに高い回答率となったのが「散歩、買い物」65.9%、「家事」53.5%、「仕事」36.5%と、多くの高齢者が日常のなかで自然と体を動かすように心がけていることがわかります。
そして自身の健康情報を管理・測定する方法として、「測定器(歩数計、活動量計、脈拍計)」が31.2%、「スマートフォン」が3.9%、「パソコンやタブレット」0.8%と、何らかの方法で測定・管理している高齢者が6割近くにのぼります。