クマネズミ、どこまで不安定な状況に耐えられるのか…
その後もシーソー板の動きを少なくする工夫をいろいろ試してみたがうまくいかなかった。やはりクマネズミはハツカネズミと違って足元が急に不安定になる事を嫌うという事だ。
数年後、シーソー板が徐々に不安定になった時に、クマネズミがどこまで不安定な状況に耐えられるのかをテストしてみた。また、徐々に足元が不安定になることを慣らすことができないかも試すことにした。
側面に調整ネジを取り付けてシーソー板のふらつき具合を自由に変える事ができるようにした。まったくふらつかない、シーソー板を固定した状態ではすぐに餌付けを行うことができた。何匹ものクマネズミが中に入ってパンを食べている。
その後、調整ネジを1目盛ずらしてほんの少しふらつく程度でもうまくいったのだが、2目盛ずらすと全く入らなくなった。少しのふらつき具合の変化を感知して、危険だと判断したようだ。
クマネズミは樹上生活を行うため、高所を平気で行動する。枝のようにしなって、徐々に足元が下がることは気にしないが、急に足元が不安定になると落下する恐れがある。体重の重いクマネズミは落下した場合死ぬ可能性が高いので、急に足場が不安定になることを嫌うのだろうと思われる。
また、足の裏のヒダヒダは、このような場合にしっかりと体を維持するのに十分その役割を果たしているのだろう。そう考えると、ドブネズミは木に登ることは得意ではないので、足元が急に不安定になるのを気にしないかもしれない。とにかく、このアイデアではクマネズミの捕獲はできないという結論に達した。
続く…
本記事は連載『捕獲具開発と驚くべきネズミの習性』を再編集したものです。