争族、離婚トラブル、労働問題…弁護士事務所には今日も様々な相談が舞い込みます。そこで本連載では、弁護士法人アズバーズ代表の櫻井俊宏氏が、実際に寄せられたトラブル事例を紹介し、具体的な対策を解説します。 ※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

>>>12/10(火)LIVE配信

告知せず「こっそり録音」しても大丈夫?

正当なクレームに対する対応はもちろん大切です。ですが、このようなものとは別に、正当性がなくただ喚き散らすだけのいわゆる「モンスタークレーマー」も最近増えています。本件のAもそれに該当するでしょう。

 

モンスタークレーマーは、組織の従業員に肉体的・精神的・時間的にダメージを与えるような例もあります。そこで本記事ではモンスタークレーマーに対する対応について解説していきます。

 

 

3 録音の重要性

 

まずは録音を活用しましょう。今後、法的紛争になった場合を想定して、証拠収集のため録音をすることは必須です。

 

証拠という観点からすると、やりとりはできるだけ書面かメールで行うことも重要です。ですが、相手を怒らせないようにすべき繊細な内容であれば、むしろ書面やメールでやりとりをせず直接話したほうがよいでしょう。書面やメールではニュアンスが誤って伝わってしまい、相手の怒りを増幅させてしまう場合が多いからです。

 

4 電話のクレームに対する対応法

 

電話でのモンスタークレーマー対応においては、ある程度毅然とした対応が必要かと思います。録音していることをあらかじめ伝えるのも一つの方法です。

 

「今後の対応の向上のために、この電話は録音させていただいております」といった言い回しで最初に告知すればよいでしょう。断られても録音をしてしまってください。相手の了承を得ずに録音をすることを「秘密録音」と呼ぶのですが、これも裁判のときの証拠になります。

 

あらかじめ録音していることを伝えておくと、相手は録音を意識して大声を出さなくなることもあり、クレームの態様が穏和になる可能性があります。嫌なことを強く言われ続けるとそれだけで精神的に参ってしまうので有効な手段です。

 

何時間もしつこく話してくるクレーマーにお付き合いしてはいけません。メンタルに悪影響を及ぼす上、業務の進行が妨害されますし、また、のちに不利になり得る情報を相手方へ与えてしまうことにもなりかねないからです。

次ページ弁護士として伝えたい「クレーマーとの話し方のコツ」

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