高校生でも「9時半」に寝かせた結果…ハーバード大学に合格

私は外務省勤務の夫を支えつつ、20年間、5ヵ国で生活を送りました。娘の紗良も、父の転勤に伴い、世界各地で4度の転校を経験しています。今回は、紗良が14~18歳のとき、私たちがバンコクで暮らしていた頃のエピソードです。※本連載は、薄井シンシア氏の著書『ハーバード、イェール、プリンストン大学に合格した娘は、どう育てられたか』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

「どこが分からないのか、分からない」の解決策

苦手は、誰にもあるでしょう。紗良の苦手は、小さいときから数学でした。私の苦手も、数学でした。私に、紗良に教えられるほどの力はありません。それなら、苦手の克服手段は、塾や家庭教師でしょうか?

 

小学5年生のとき、紗良が数学が分からないと言い出しました。ノートを見ると、確かに、解答欄に空欄や間違いが目立っています。

 

「紗良、どこが分からないの? 全部が分からないわけじゃないでしょ」

「うん…。でも、どこが分からないか、分からないの」

 

この感覚、私にも覚えがありました。「どこが分からないのか、分からない」。苦手はここから始まります。数学はとくに、いまの段階が理解できていなければ、次の段階にいけません。次にいったとしても、穴を開けたまま進んでしまうのだから、混乱します。でも、逆を言えば、どこが分からないのかが理解できればいいのです。そこに戻ってやり直せば、穴を埋められるのですから。

 

紗良と私は、少しずつ糸をたぐり寄せるように問題をその前、前と戻っていきました。穴はすぐに見つかり、埋めることができました。私は、紗良に提案しました。「これからは、その都度その都度、理解できているかをママと一緒に確認しようね」と。

 

紗良は、数学の宿題をやると、その場で私に説明するようになりました。うまく説明できれば問題ありません。次に進みます。でも、ときどきは、うまく説明できないこともありました。「え~っと」が増えたり、言葉足らずになったり…。

 

「紗良、ママには、その説明ではよく分からないわ」

 

紗良の説明で、私が理解できないということは、つまり紗良自身が理解できていないということです。紗良は、説明をやり直しました。

 

「紗良、ママにはまだよく分からないわ。今、ここが理解できていないと、次には進めないのよ。よく考えて、もう一度説明してね」

 

こうして、説明の繰り返しを2度、3度…。人に教えると、力がつきます。この習慣は功を奏し、紗良は、大きな穴に落っこちて、先に進めなくなるということはありませんでした。高校までは…。

親の役目は「教えること」だけではない

高校の数学は、私が理解できなくなりました。私にできることは、ただひとつ。

 

「紗良、いまの分野は完璧に分かってる?」

 

このひと言をかけるだけです。私は、どこが分からないかを知る必要はありません。紗良本人が自覚できればよいのです。分かっていなければ、紗良は「明日は、先生のところでお昼を食べる」と言いました。これは、先生の横でお弁当を食べながら、分からないところを質問するという意味です。分かるまで、紗良は先生を質問攻めに(笑)していました。

 

本格的にアメリカの大学受験を考え始めたのは、高校2年生の初めでした。日本の大学入試に相当するSAT(大学進学適性試験)は当時3つの分野で構成され、各配点が800点、合計2400点でした。模擬試験では、2分野は満点なのに、数学だけがめちゃくちゃ悪く、紗良は大ショック! どうしたものか? 私は、紗良に言いました。

 

「紗良、塾に行く? 世の中の人の測り方はいろいろだけど、大学入試では、残念ながら数学の得点で測られる。ここを突破しないと好きなことができないなら、覚悟を決めて突破しようね。塾で、点を取るテクニックをつけるのよ」

 

紗良は塾へ行くことを決めました。ところが、聞けば、その塾はSATの3科目すべての受講が必須だというではないですか。紗良にとって、満点レベルの2科目を受講するのは時間のムダというものでしょう。

 

さあ、ここは親の出番です。私は、塾に掛け合いに出かけました。受講費は全額払うから、数学だけ受講し、他の科目は欠席させてください、と。そんな前代未聞の交渉ができたのは、私が、そのときの紗良に何がいちばん必要かを理解していたからです。塾の返事はOK! それは、そうでしょう。だって、塾には一銭の損もさせなかったのですから。

 

紗良は、塾でみっちり数学の力をつけ、SATでは、2360点を取りました。2科目分の時間は何をやっていたかって? ぐっすり寝ていました(笑)。

 

【紗良が学んだこと】 高校になると勉強は子ども任せになりがち。でも、「高校数学なんてもう、私には分からない」と放棄するのは、親の怠慢だと思います。親がやるべきことは、子どもの学習に努めて関わりを持ち、状況を把握して理解しておくこと。理解できていれば、親にできるサポートは必ずあります。 (マンガ:ふじいまさこ)
「子どもの苦手は何か」を把握する 【紗良が学んだこと】
高校になると勉強は子ども任せになりがち。でも、「高校数学なんてもう、私には分からない」と放棄するのは、親の怠慢だと思います。親がやるべきことは、子どもの学習に努めて関わりを持ち、状況を把握して理解しておくこと。理解できていれば、親にできるサポートは必ずあります。
(マンガ:ふじいまさこ)

 

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大手飲料メーカーにて、東京2020オリンピックホスピタリティの仕事に従事

1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。日本国籍。国費外国人留学生として20歳で来日。東京外国語大学卒業後、貿易会社に2年間勤務。日本人と結婚、外務省勤務の夫を支え、30歳で出産した娘を育てるために専業主婦の道を選ぶ。5ヵ国で20年間暮らす。

娘のハーバード大学入学と同時に就職活動を開始。47歳で“給食のおばちゃん”からカフェテリアマネージャー(タイ)、会員制クラブの電話受付アルバイト(日本)を経て、ANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。勤続3年で営業開発担当副支配人になる。

その後、ラグジュアリーホテル シャングリ・ラホテル東京に勤務。経済産業省や観光庁の支援で、観光業でキャリア再構築を目指す女性のための、ホスピタリティ講座やメンター会を開催。2018年、東京2020オリンピック大会トップパートナーのホスピタリティ担当に従事。

【主な著書】『専業主婦が就職までにやっておくべき8つのこと』(KADOKAWA、2017年)

著者紹介

連載「世界のトップ大学に通用する人間」が育つ!「自力」がつく子育て術

ハーバード、イェール、プリンストン大学に合格した娘は、どう育てられたか

ハーバード、イェール、プリンストン大学に合格した娘は、どう育てられたか

薄井 シンシア

KADOKAWA

ハーバード、イェール、プリンストン大学、それにウィリアムズカレッジ…アメリカの一流大学に軒並み合格した娘は、どのように育てられたのか? 子育て術を大公開! 母である筆者が教えたのは、「自立(自分で物事を行うこ…

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