結果、ハーバード合格!10歳で「夜更かしを許した」深い理由

私は外務省勤務の夫を支えつつ、20年間、5ヵ国で生活を送りました。娘の紗良も、父の転勤に伴い、世界各地で4度の転校を経験しています。今回は、紗良が8~10歳のとき、私たちが東京で暮らしていた頃のエピソードです。※本連載は、薄井シンシア氏の著書『ハーバード、イェール、プリンストン大学に合格した娘は、どう育てられたか』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

「なんかこの本、ストーリーがみんな同じなんだよね」

少女時代、私には、何度も読み返すほど大好きな本がありました。アメリカの『少女探偵ナンシー・ドルー』という児童向け推理小説です。利発な少女ナンシーが遭遇する事件を次々に解決していくという物語で、何十巻とあるこのシリーズは、私が本のおもしろさに目覚めた最初の本でした。

 

紗良が9歳になり、私はこのシリーズからお気に入りの1冊を抜き出して渡しました。

 

「これはね、ママがちょうど紗良と同じくらいの年に読んでいた本なの。おもしろいのよ」

 

紗良は素直に受け取りました。その日の夜には、本を開いて熱心に読んでいるように見えました。私は期待しました。翌朝、「ママ、すっごくおもしろかったよ!」と声を弾ませて言ってくるに違いないと。ところが、翌日も、その翌日も、とうとう週末になっても、紗良からひと言の感想も返ってきません。私は、ガマンできなくなりました。

 

「紗良、あの本どうだった?」

 

紗良は、ちょっと困った様子で「あの本ね、どうかな…」と言ったきり。そう、おもしろくなかったのです。私は、心底ガッカリしました。それ以来、シリーズの2冊目を紗良に渡すチャンスはやってきませんでした。

 

同じ頃、紗良がハマっていたのは、『ベビーシッターズ・クラブ』という少女小説でした。これもまた何十巻もあるアメリカの大人気シリーズで、4人の少女たちがベビーシッターズ・クラブを作り、仕事で直面する問題を解決していくというコメディータッチの物語です。紗良が通っていたアメリカン・スクールでも大流行し、紗良も友達と競うように読んでいました。私も読んでみました(紗良が夢中になっている本は、私も読みます)。1冊、2冊、3冊…と読みました。

 

でも、分からないのです。そのおもしろさが。ベビーシッターズ・クラブを作った紗良と同じくらいの女の子たちが、派遣された家庭で子どものお守りや家事手伝いをする。そこで起こる数々の事件…とくれば、日本にもたしか大人気の「…は見た」というドラマがありましたね。でも、残念ながら、お話はミステリーでもなければ、ドラマティックな展開もありません。

 

「ねえ紗良、これ、おもしろい?」

「……」

 

そのときも、無心に読みふけっていた紗良には、私の質問が耳に入らなかったようです。あるいは、反論するまでもないということだったのでしょうか? どうやら、この熱病に、私もしばらく付き合うしかなさそうです。私は、「もっとおもしろくてタメになる本があるでしょ!」という言葉をのみ込みました。

 

私たちは、新刊が出たと聞くと書店にすぐに買いに行きました。学校で年に一度開かれる古本市では、大量に放出されるこのシリーズ本を紗良と一緒になって片っ端から買い漁り、両腕に抱えて持ち帰りました。信じられないくらいの量でした。紗良は、それはもう夢中になって読みふけりました。毎日のおしゃべりの半分は、来る日も来る日もベビーシッターズの話でした。夜9時の就寝時間をきちんと守れたことが、むしろ不思議なくらいでした。

 

しかし、ブームというのは、突然に終わりを迎えるものです。秋風が吹き始めたある日、朝食のパンケーキを食べながら、紗良がぽそっとつぶやいたのです。

 

「ママ、なんかこの本、ストーリーがみんな同じなんだよね…」

 

あら、いま頃、気づいたの?と、思わず私は言いそうになりました。

 

「そうなの? へー。でも、おもしろいんでしょ?」

「う~ん、でも結局、全部同じなんだよね…」

 

もう、十分だったのでしょう。紗良は、飽きるほど読んで思う存分その世界に浸り、主人公の一人となって、ベビーシッターの仕事をしました。降りかかる難題を解決しました。それが、同じような展開であることに気づいてようやく、紗良は満足したのでしょう。9歳の私が、まさにナンシー・ドルーであったように。

 

このシリーズ本は、翌年の古本市で全部売りました。おそらく、紗良のような女の子の手に渡り、ふたたび夢中にさせたに違いありません。それにしても、この小さなベビーシッターさんたちに、私はどれほどの「賃金」を支払ったことか! 思い出しても、目が回るようです。

 

【紗良が学んだこと】 私がこのシリーズ本を「つまらない」と評していたら、どうでしょう? 本にハマるという体験から、子どもは大変な集中力で多くのことを学び取っています。親は本人がおもしろいと思う感覚を否定しないこと。邪魔をしないで、その本の世界に安心して浸れるようサポートしてあげてください。 マンガ:ふじいまさこ
「子どもがハマっていること」を批評しない 【紗良が学んだこと】
私がこのシリーズ本を「つまらない」と評していたら、どうでしょう? 本にハマるという体験から、子どもは大変な集中力で多くのことを学び取っています。親は本人がおもしろいと思う感覚を否定しないこと。邪魔をしないで、その本の世界に安心して浸れるようサポートしてあげてください。
(マンガ:ふじいまさこ)

大手飲料メーカーにて、東京2020オリンピックホスピタリティの仕事に従事

1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。日本国籍。国費外国人留学生として20歳で来日。東京外国語大学卒業後、貿易会社に2年間勤務。日本人と結婚、外務省勤務の夫を支え、30歳で出産した娘を育てるために専業主婦の道を選ぶ。5ヵ国で20年間暮らす。

娘のハーバード大学入学と同時に就職活動を開始。47歳で“給食のおばちゃん”からカフェテリアマネージャー(タイ)、会員制クラブの電話受付アルバイト(日本)を経て、ANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。勤続3年で営業開発担当副支配人になる。

その後、ラグジュアリーホテル シャングリ・ラホテル東京に勤務。経済産業省や観光庁の支援で、観光業でキャリア再構築を目指す女性のための、ホスピタリティ講座やメンター会を開催。2018年、東京2020オリンピック大会トップパートナーのホスピタリティ担当に従事。

【主な著書】『専業主婦が就職までにやっておくべき8つのこと』(KADOKAWA、2017年)

著者紹介

連載「世界のトップ大学に通用する人間」が育つ!「自力」がつく子育て術

ハーバード、イェール、プリンストン大学に合格した娘は、どう育てられたか

ハーバード、イェール、プリンストン大学に合格した娘は、どう育てられたか

薄井 シンシア

KADOKAWA

ハーバード、イェール、プリンストン大学、それにウィリアムズカレッジ…アメリカの一流大学に軒並み合格した娘は、どのように育てられたのか? 子育て術を大公開! 母である筆者が教えたのは、「自立(自分で物事を行うこ…

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