「駆除すべき対象としてしか見ていなかった生き物に対して、ネズミさんたちと呼びたくなるほどに親しみを感じている」「解き明かして得たネズミさんたちの習性が、今後のドブネズミ駆除に役立つのであれば、私にとってこれ以上喜ばしいことはない」――ネズミ捕獲のプロ・山﨑收一氏は書籍『捕獲具開発と驚くべきネズミの習性』(幻冬舎MC)で、そう語っています。

パンデミックをもたらす「ネズミ」…なぜ捕獲具がない

ネズミの介在が疑われている狂牛病も鳥インフルエンザも、もしクマネズミがその病の蔓延に大きな役割を果たしていると判明した場合に駆除の手立てがないようでは話にならない。さらに、東南アジアでは数百万人分の食料がネズミによって失われていると聞く。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

今までに多くの被害を与えてきた、あるいは今後も新たに被害を与えるかもしれないネズミを退治する道具として捕獲具があるが、何故その開発が今日に至るまで放置されていたのかが分からない。過去の多くの研究者たちが成し得なかったことなのだから、相当手強いに違いない。

 

以前の私は、クマネズミを捕獲することがどれほど困難なのか全く分かっていなかったが、取り組む課題として不足はないと感じた。

 

なかなか捕まえられないクマネズミ(写真/PIXTA)
「鼠小僧」の代表、クマネズミ(写真/PIXTA)

 

多くの研究者が挑戦したであろう捕獲具の開発は金属の材料と加工技術が格段に進歩した現在、様々な発想を元に試作することが可能になっている。

 

開発初期に一度、通過センサーと電磁石を用いてネズミを捕獲したことがある。日本橋で通過センサーを購入してプラスチックの容器に仕掛けを内蔵して全て手作りで作ってみた。

 

プラスチック素材の表面と曲面はネズミによって齧られることはないだろうと考えてプラスチックの容器を用いた。そして、ネズミが仕掛けに対してどのように反応するのかを知りたくて暗視カメラを購入しその様子を撮影した。

 

1回目の設置で、翌日にはうまく1匹を捕まえることができた。農家で捕獲したので種類までは分かっていないが、中くらいの大きさでハツカネズミではなかった。

 

撮影された映像には1匹のネズミが仕掛けに対してとても慎重な行動をとる様子が映っていた。捕獲の瞬間には、電磁石が作動するときの小さな金属音にさえ驚き、飛び上がる様子が映っている。

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捕獲具開発と驚くべきネズミの習性

捕獲具開発と驚くべきネズミの習性

山﨑 收一

幻冬舎メディアコンサルティング

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