例えば手足が切断されたり麻痺したりするような、一生治らない症状に対しては手厚く補償されるが、将来治る可能性がある、いわゆる、むち打ち系のように、あきらかに不可逆性のない障害に対しては補償はされない。
どんなに症状がひどくて日常生活に支障があったとしても、また、体調不良で仕事もできなくなり、家庭内でもおかしくなってしまったとしても、周りから見て、見た目が健康であれば、まともに補償をされることは難しい。患者は「こんなに悪いのだから」と、当然補償してもらえるものだと思っていても、保険会社からも知らんぷりされてしまうのだ。たとえ裁判になったとしても、誰も患者の症状を理解してくれず、被害者が望むような結果が得られることは難しい。これで家族と医者から見放されてしまうと、四面楚歌に陥るのだ。
※本記事は連載『治療の痛みは喜びの涙 ある整形外科医の言いたい放題』を再構成したものです。
片岡 泰文
片岡整形外科院長