整形外科医が警告「靴選びの失敗で、人間の足は退化していく」

外反母趾、扁平足、開張足…。あなたの「足トラブル」、原因は誤った靴選びかもしれません。熊本市民から愛される整形外科の院長、片岡泰文氏は書籍『治療の痛みは喜びの涙 ある整形外科医の言いたい放題』(幻冬舎MC)にて、間違いだらけの健康常識に警鐘を鳴らしています。

かかと歩き・靴選びで「足のトラブル」は解決する

立つということに対して、人間は、どんな方向に進化していけばいいのか、そんなつまらないことを常に考えている。膝を曲げて歩くという動作自体が膝をひねっているのだ。

 

山道を歩くときと違って、街なかは平坦。そこを、膝を曲げて歩く必要はない。ところが街では、膝を曲げて歩いている人が目立つ。

 

幅広靴のような、かかとで歩けない履きやすい靴の影響だ。すり足の人は、かかとに発達障害が起きている。かかとをちゃんと使って歩くことで、かかとが長くなり、安定性が増すのだ。颯爽と歩く感じがいい日本人には、かかとを使って歩くというイメージを持った人が少ない。でも、外国人には意外と多いのだ。

 

外国人の女性の胸が大きいのには理由がある。かかとを使い、背筋を伸ばしているからだ。肩を寄せて背中を丸めると、胸が引っ込む。颯爽と歩く感じで歩くと、身長も伸びるし、バストアップにも効果がある。テレビなどで話題のウォーキングトレーナーさんは、モデルの歩き方をやっているだけ。あれができるのは若い女性だけだろう。年寄りなんかは、やるもんじゃない。体が硬いと壊れてしまう。

 

若くて健康で、あれを魅力的でいいという世界もあるだろうが、医療とは関係ない。治療ともいえない。

靴ひもを締めるべき理由

靴ひもを締めない若者が増加している。どんなに高価な靴を履いていても、靴ひもをしっかりと締めなければ、足が靴の中で前後に動いてしまい、痛みの原因をつくってしまう。究極に悪い例が、「幅広靴」や「幅広サンダル」。老若男女を問わず、人気がある。悪い姿勢で、つま先をすりながら歩くのに、ちょうどいい靴といえる。歩く姿は猿。つまり「退化」しているのだ。

 

いい靴というのは、底がある程度硬くて、細くて長いもの。足をしっかりつかまえる靴で、靴ひもやマジックテープなんかでしっかり締めて、足が先に進まないようにして履くんです。しっかりした靴をきちんと履けば、外反母趾・扁平足・開張足も回復してくる。

 

自分の足をよーく見てください、今使っている幅広靴と同じ形になっていませんか?

 

今使っているのは、どんな靴? (画像はイメージです/PIXTA)
今使っているのは、どんな靴?
(画像はイメージです/PIXTA)

外反母趾の原因になっている「幅広靴」

外反母趾は、その昔、女性がヒールなどに無理やり足を押し付けて履いたのが原因だ。しかし、現代の外反母趾は、履きやすい幅広靴が原因をつくっていると、私は主張する。幅が広くて緩い金型に足を押し付けるので、足がベチャーッと開いた状態の「開張足」になっている。昔は男性で外反母趾になったという人はほとんどいなかったが、今では2E・3E・4E・5Eといった感じで、幅広靴を履くために足の形が変形し続け、楽な靴選びのツケが回ってきている。

 

歩き方にも問題がある。スポーツなどでは、「つま先に力を入れろ」とか「足の指を曲げる運動をしろ」などと一生懸命やっている。スポーツ選手の場合は別だが、間違いばかりだ。かかとに重心を乗せて歩く練習をしたほうがいい。

 

指の足なんて、もともとは、末節・中節・基節の3本の骨でできていたのが、末節と中節が癒合ごし、2本の骨になって退化中だ。これが人間の歴史なのに、一生懸命に指を動かせというのは、人間の進化と逆行している。

 

いわゆる甲高、幅広フニャフニャ靴が、現在の靴業界を席巻している。大半が幅広の甲高足用にできているので、普通の人がそんな靴を履くと、どうしてもガバガバの状態になる。患者には、そんな靴を履きたければ、靴の中敷きを入れて、靴底の高さを調整するように勧めている。

 

それでも甲高足用の靴は、靴ひもを締めてもフィット感がないために、今度はサイズの合わない浅い靴を履いてしまう。そうすると、足がどんどん、その靴の格好通りに変形が進む。昔はなかった男性の外反母趾や内反小趾が、現代では増えてきている。

幼少期に選ぶべきは、どんな靴?

小学生のころから姿勢を矯正すれば、病気はすごく減るはずだ。しかし、学校の上履きとか、学校で指定された靴なんていうのには、ろくな靴がない。

 

ペラペラで短くて、幅広だ。みんなが履ける靴を選ぶから、そうなるのだろうが、長くてしっかりした靴を履いて、履き慣らさないといけないのに、なぜかそういう教育はしない。

 

子どもたち一人ひとりに、それぞれ合った靴や履き方があるのに、全員に合わせている。子どもの足はどんどん成長している。スポーツをしている子は、自分の足にピッタリした靴を選ばないこと。

 

昔の靴は、長く履いていると足に合わなくなって穴が開いたが、今の靴は高級で強いから穴なんて開かない。だから足が靴に沿って変形する。昔の運動靴だと、足は変形しなかったが、今では実際に起こっている。靴業界には睨まれるかもしれないが、履きやすい靴が良い靴とはいえない。

 

個人的に、女性のお尻は「ピッ」と飛び出したほうがいいと感じるが、力学的に考えると、どうしても無理がある。こうした矛盾は山ほどあるが、治療としては、そっちの美ではなく、やっぱり機能というか、そんなところを追求している。歩き方では、男性モデルの歩き方が理想で、お尻をフリフリして足をクロスして歩く女性モデルの歩き方はむちゃくちゃだ。でもそれは、美を追求した仕事の話。普段はあんな歩き方はしていないはず。

 

女性の患者には「宝塚の男役を真似して歩いてみたら?」と勧める。ほとんど膝を曲げることなく、颯爽と歩いているので、より進化形に近づく歩き方といえる。

 

 

 

※本記事は連載『治療の痛みは喜びの涙 ある整形外科医の言いたい放題』を再構成したものです。

 

片岡 泰文

片岡整形外科院長

片岡整形外科 院長

昭和57年3月 福岡大学医学部卒業、熊本大学麻酔科入局
昭和58年 熊本市民病院麻酔科勤務
昭和59年 熊本大学整形外科入局
昭和60年 熊本労災病院整形外科勤務
昭和61年 水俣市立湯之児病院整形外科勤務
昭和62年 国立熊本病院整形外科勤務
昭和63年~平成4年 熊本大学病院整形外科文部教官(助手)
平成5年 熊本赤十字病院整形外科勤務
平成5年12月20日 片岡整形外科開業

著者紹介

連載現役整形外科医が、間違いだらけの健康常識に喝!「治療の痛みは喜びの涙」

治療の痛みは喜びの涙 ある整形外科医の言いたい放題

治療の痛みは喜びの涙 ある整形外科医の言いたい放題

片岡 泰文

幻冬舎メディアコンサルティング

痛みばともなわんと、治療じゃなか! ・肩こりが発症したときの鉄則は、決して「揉まない」「叩かない」。 ・骨粗しょう症には「カルシウムは取り過ぎるな」。 ・流行りの幅広靴は外反母趾の原因に。 熊本市民から愛さ…

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