運動後に、自分の肩こりを自覚する人は少なくありません。しかし、熊本市民から愛される整形外科の院長、片岡泰文氏は書籍『治療の痛みは喜びの涙 ある整形外科医の言いたい放題』(幻冬舎MC)にて、運動後に肩を揉んだり、叩いたりすることの危険性について言及しています。

「理想の運転姿勢」ってどんなもの?

運転姿勢の理想は、体の脇を締めてハンドルが回せることだ。この状態が一番肩も上がっている。肩が下がるなどして姿勢が悪いと、「あしたのジョー」が、ノーガードで立ち向かっているような状態になる。ノーガードで肩が下がっていると、筋肉もだけど神経が引っ張られている。筋肉や神経が「パキッ」といってしまう、だからノーガードは怖い。車を運転するときは、ボクサーのようなクラウチングスタイル(背中を丸め、前かがみに構えた状態)を取るわけにはいかないので、実際には肩を上げて脇を締めた状態がいい。これだと、少々の外力が加わっても壊れないし、外傷も少ない。

 

交通事故の一番の特徴は、その人が持っているウィークポイントが、事故で表に引き出されることだ。だから、姿勢が悪い人は、姿勢が良い人よりもダメージを受けやすいといえる。また、シートを倒し気味にしていたときや正面を見ていなかったとき、事故に気付いていなかったときは、症状が悪化しやすいので注意が必要だ。

事故の後、一番気を付けなければいけないこと

事故のあとで、今まで隠れていた症状が出ることがある。しかも、これまで痛くないと思っていたのに、痛みが表に出たら引っ込まないことが多い。ぶつかった相手は「これくらいなら大丈夫」と思っていて、事故後に「痛い」などと訴えると嘘つき呼ばわりされたり、保険会社にも「車はたいして凹んでもいないのに」と言われて揉めることがある。

 

最終的には「精神状態がおかしいんだろう」と、たいていの医者は同じことを言い始める。要は、患者をしっかり診ていないのだ。

 

「薬を出しておきましょう」

 

「むち打ち」を薬で治療? (画像はイメージです/PIXTA)
「むち打ち」を薬で治療?
(画像はイメージです/PIXTA)

 

それじゃ治るわけありません。患者がかわいそうだ。「たいしたことないな」と事故の加害者が思う。保険会社も、そう思う。家族も、そう思う。知識のない医者もそう思ってしまえば、いったい誰が患者を救えるのだろうか?

 

最近の交通事故で「問題だな」と思うのは終わり方だ。「症状固定」という言葉をご存知だろうか。事故後に、これ以上治療を続けても良くはならないという状態のこと。交通事故の患者は皆、症状固定で保険金の補償が出ると思っている。

 

ところが現実には、ほとんど出ない。

 

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治療の痛みは喜びの涙 ある整形外科医の言いたい放題

治療の痛みは喜びの涙 ある整形外科医の言いたい放題

片岡 泰文

幻冬舎メディアコンサルティング

痛みばともなわんと、治療じゃなか! ・肩こりが発症したときの鉄則は、決して「揉まない」「叩かない」。 ・骨粗しょう症には「カルシウムは取り過ぎるな」。 ・流行りの幅広靴は外反母趾の原因に。 熊本市民から愛さ…

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