脚を開くことで「骨盤」が起きる
仕事をするときは、机は高く椅子は低く、そして脚を開く。要するに、蹲踞(そんきょ)の姿勢を取るということだ。脚を開くには、足を下に引っ込めるタイプの椅子がいい。足が後ろに行けば行くほど、かかとが体の下に入り、蹲踞の姿勢になる。そうすると、上半身は勝手に伸びる。脚を開けば、骨盤の歪んでいる場所が真っすぐに矯正される。
出尻(でっちり)だった骨盤が起きてくる。腰椎の前彎が元に戻るという感覚で、体の上部分が真っすぐになってきて、肩も上がってくる。
女性の患者には、「職場の環境は、脚を開いて仕事ができるか?」と聞く。できるんだったら「ズボンを穿いて実践を」と言う。都内のオフィスでは、バランスボールを椅子代わりにしている会社もあるが、基本的に脚を開いて座っているはず。脚を開けば骨盤が起きる。脚を開くことが大事だ。
肩こりの原因は「けん引」による血流悪化だった
「肩こりがない」と話す人もいるが、そういう人には、実はすごい肩こり症の人が多い。昔から肩がガチガチで、肩こりという現象を認識できていない。そういう人に限って、肩を触られると嫌がる。揉まれたりすると本当に痛いから、決して肩を揉ませない。
一般的な肩こりというのは、そこそこに筋肉が張っている状態で起きる。スポーツをしたあとに凝るというのは筋肉痛で、肩こりとは違う。肩こりの原因は「けん引」だ。引っ張られて筋肉が伸ばされ、筋肉の中に血液が流れにくい状況で、虚血に近づいて壊死しかかっている状態。
だから、そういう状態では、決して揉んだり叩いたりしたらダメだ。肩を上げて筋肉を緩めてやれば、血流はスーッと戻る。むやみに揉んだりすると、とどめを刺すことになる。
肩こりは「人に揉んでもらおう」とか「薬で治そう」とか思ったら、その時点で治らない。気持ちよく座れる洋風の椅子なんかも、肩こりには良くない。だったら畳はいいのかというと、そうとはいえない。患者には「和の生活は厳禁」と話している。なぜなら、和の生活は、立つときに膝をひねり、腰をひねって手をついたりするため、痛みの根源を伴う生活だ。