運動後に、自分の肩こりを自覚する人は少なくありません。しかし、熊本市民から愛される整形外科の院長、片岡泰文氏は書籍『治療の痛みは喜びの涙 ある整形外科医の言いたい放題』(幻冬舎MC)にて、運動後に肩を揉んだり、叩いたりすることの危険性について言及しています。

車の損傷が大きいほど、ケガの症状は軽い?

交通事故で一番問題になるのが、追突事故。いろんな患者がやってくるが、車がグシャグシャになるような事故の患者は、ケガの症状が軽いことが比較的多い。それは衝撃を吸収するクラッシャブルゾーンに入ったときの状態で、車が「グシャッ」と潰れながらも、急激な衝撃が体に伝わらないのだ。車が最大限に衝撃を吸収してくれるので、人体への影響が少ないということ。F1なんかでも、グシャグシャになった車体からドライバーが平気で出てくる。いい意味で、車が壊れてくれている。

 

車の破損が少ないときほど、ケガの重症化に注意しなければならない。追突時に車が変形する直前の衝撃が一番大きく、体に障害が出やすいのだ。試しに生卵を金槌で叩いてみると、よく分かると思う。金槌で真横から強く叩いた卵は、当然ながら割れる。割れたら卵は転がらない。だが、「コツン」と軽く叩けば、卵は遠くまでコロコロと転がるだろう。割れる手前の瞬間が一番転がるということ。

 

実際の事故でいえば、「トン」と軽くぶつけられたときは、首や腰に瞬間的にものすごい力が加わる。それはのちに、被害者がもともと持っていた弱点や素因を表に引きずり出す。検査等で明らかな損傷がないから「大丈夫」などと決め付けずに、元からある所見を見落とさないこと。小さい事故ほど要注意。

 

「たいしたことない」「大丈夫だろう」という事故ほど、実は一番大変だったりする。特に、運転席の座り方でも、衝撃を受ける度合いが変わったりする。運転するときに、ほとんどの人が、ヘッドレストと頭の間に、拳ひとつくらい隙間が空いていることが多い。その場合、万が一事故に遭うと、体はシートと一緒に動いて、頭だけが残った状態になり、「せん断」という現象が起きる。

 

ダルマ落としで頭が残るのと同じ。車を運転するときは、シートをできるだけ直角にして、ヘッドレストと頭の隙間をできるだけ少なくして座ること。

 

むち打ちじゃなくて「せん断」。

 

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    片岡 泰文

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