トヨタの強さはサービス力と販売力
グルグラム(グルガオン)はデリーから車で30分のところにあり、日本人駐在員が多く暮らしている経済都市です。そこで見たトヨタの販売店はかなりの実績を上げていました。
販売店はカーディーラーです。メーカーではなくサービス業の範疇に入ります。トヨタがインドで車を売って実績を上げているのは、サービス業として優れたカーディーラーを抱えているからでしょう。
そのひとつが私が見たMGFトヨタでした。MGFトヨタは1960年に設立され、自動車販売事業の他、不動産事業、ショッピングモールの開発等も行っています。
2000年にトヨタの第1号ディーラーになったときの従業員数は23名でしたが、現在は1100名。また、2000年の販売台数は900台で、かつ点検、修理などサービスをした車両は2800台に過ぎなかったのが今では販売が4200台、サービスは6万5600台の入庫となっています。
店舗数はグルグラムに5店、デリーに1店。同社は販売よりもサービスを重視しているようで、従業員のうち、販売担当が200名ほどなのに対して、サービス担当の陣容は870名以上にのぼっています。
2019年上半期(1~6月)のインド自動車市場は、2018年に比べると10パーセント減と縮小していますが、MGFトヨタは前年比20パーセント増を達成しているとのこと。そのうえ、同社は高級車レクサスの販売でも好調を維持しています。インドで造った車にはむろん輸入関税はかかりません。しかし、レクサスのような高級車を輸入すると125パーセントの高関税がかかります。日本で買う倍以上の高価な車を売ってしまうのだから、MGFヨタはサービス力と販売力のある会社なのでしょう。
ちなみにインドにおける自動車の販売シェアは次の通り。トヨタのシェアはまだ小さいですが、売っている車は他よりも高価です。
1.マルチ・スズキ・インディア 48.2%
2.ヒュンダイ 16.0%
3.マヒンドラ・アンド・マヒンドラ 13.2%
4.タタ 5.6%
5.ホンダ 5.0%
6.トヨタ 4.2%
7.フォード 2.5%
8.ルノー 2.3%
見たところ、MGFトヨタは点検修理サービスに力を入れていて、しかも、他の販売店にはない特長がありました。
ひとつは徹底した顧客志向です。「お客様は神様です」を実践していました。
予約した客が車を持ってきたら、入り口の警備員が全店の従業員に向けてゲートインを知らせる。その後、すぐに世話係が飛んできて、入庫、客との面談、点検修理箇所のチェックなどを済ませる。点検、修理に入るのはそれからです。マンツーマンで客の世話をします。