インドは中国に次いで世界第2位の14億人の人口を誇る。豊富な人口に加え、平均年齢が27歳と中国より10歳若く、中国経済が減速する中、インドの本格的な成長が期待されている。今後、インドは世界市場の「最後の成長のエンジン」となれるのか。日本企業は成長の果実を得ることができるのか。本連載はグルチャラン・ダス著『日本人とインド人』(プレジデント社)の抜粋原稿です。

店の幹部はこう言っていました。 

 

「インドには車検システムはありません。ただし、排ガス規制があるので、お客様は一定のタイミングで車をメンテナンスする必要があります。私どもは時間と走行距離の両方に基準を設けていて、5000キロ走った時点、もしくは、買ってから6か月経った時点で点検に来ていただきます。また、車によっては1万キロ、もしくは1年というメンテナンスタイミングになることもあります。

 

インドのカーオーナーの走行距離は法人客でしたら、1年間に5万キロから6万キロ。個人客でしたら、だいたい2万キロ以下です」

 

2番目の特長は、リフレッシュメント(スナックなどの軽食)とミール(食事)を無料提供していること。インドでは顧客サービスの一環となっています。車が贅沢品に当たる新興国では、見込み客、顧客に対して、食事を提供するくらいはごく当然のサービスメニューになっているのでしょうね。

 

3つ目は「エクスプレス・メンテナンス」。車両点検を実質、60分で終えてしまうサービスです。

 

インドで60分という短時間で点検をやることができるのは、トヨタの販売店だけだそうです。

私がユニクロに期待するのは防寒着

インドにユニクロの店ができたのは2019年の秋でした。

 

グルチャラン・ダス著『日本人とインド人』(プレジデント社)
グルチャラン・ダス著『日本人とインド人』(プレジデント社)

私自身は、経営者としての柳井正さんのことは聞いたことがあります。インドで日本のベンチャー企業といえばソフトバンクとユニクロのふたつしかありませんから、孫正義さんと柳井さんの簡単なプロフィールは承知しています。

 

そこで、ユニクロの店ができたと聞いたので、甥とその妻に見てきてもらいました。私の甥はアメリカの大学を出てインドでベンチャー企業を興しています。

 

彼らの感想は次のようなものです。

 

おじさんに言われて、ふたつの店に行ってきました。ひとつ目はデリー空港にほど 近い「アンビエンス・モール(Ambience mall)」にある売り場面積約3300平方メートルの店です。

 

私が行ったのは昼過ぎです。インド人はその時間にはショッピングはしません。客は少なく、従業員の方が多いと感じました。

 

1階はメインフロアでメンズとレディースが半々。秋から冬にかけてのダウンやヒートテック、フリース商品などを並べていました。2階には今回のインド進出の目玉であるクルタという女性用民族衣装を中心としたレディース商品が並べてありました。3階は男性用のTシャツ(ドラゴンボールZや日本のアニメコラボ)や下着類、ヒートテックなどが置かれていました。

 

並んでいた商品は日本と同じもので、価格は日本の1.5倍程度。

 

従業員に「インド限定の商品はないか」と尋ねてみたら、うーん?わからない……という態度でした。

 

それでもデザインがインド風のパジャマを出してきたので、「これはインド綿を使っているのか?」と聞いてみました。

 

すると、すべて日本から持ってきたとのこと。

 

私は日本のユニクロで買ったウルトラライトダウンの軽さとコンパクトさが大好きでした。日本人はインドは真夏の国だと思っていますが、デリーの冬は寒い。10度くらいになることもあります。だから、私がユニクロに期待するのはウルトラライトダウンのような防寒商品です。

 

妻はこの時、クルタを買いました。はっきり言うと、「品質はイマイチ」とのこと。また、妻も日本のユニクロで買い物をしたことがありますが、インドの店の従業員は「教育不足」と言っていました。

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日本人とインド人

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