大胆なキャラクター設定も「日本一」獲得に貢献!
徳島県の自治体の中で、唯一「村」がつく佐那河内(さなごうち)村に「村のおっさん」というユニークな名前の豆腐店があります。この「村のおっさん」の名物商品が、写真の「充填(じゅうてん))こいまろ。」という豆腐です)。
パッケージに大きく描かれた独特のキャラクターが印象的なこの豆腐、ひと目見たら忘れられないほどのインパクトを与えます。
地元のイラストレーター、KESHIHAN洞の浜田淳子さんが、同社社長の桑原年朗さんをモチーフに描いたキャラクターで、その名も「トウフ野郎」。売り場に並んだ数ある豆腐の中で、ひときわ存在感を放っています。
このような斬新さを前面に打ち出したパッケージを採用するのは、とても勇気がいることです。パッケージのユニークさに惹かれて買ってはみたものの、味が普通、あるいはそこそこのおいしさであったら、単なるキワものとして位置づけられてしまいます。リピーターへのハードルを自ら上げてしまうことになりかねないのです。
しかしこの「充填こいまろ。」、2015年に開催された第1回全国豆腐品評会で、日本一の充填豆腐に選ばれ、味も折り紙つきであることが証明されました。
日本一受賞を記念して、特別パッケージを制作しました。写真のように「トウフ野郎」の頭に王冠をかたどった受賞シールを貼ったのです。
王冠がパッケージから飛び出しているところがポイントで、販売促進にひと役買いました。
お客様に手に取ってもらうために、パッケージを目立たせる。社長自らをキャラクター化することで、認知度を高める。注目を集めることによって「おいしいものを作らなければ」と作り手の士気が高まり、さらにおいしい豆腐ができる、という好循環を生んだ商品といえます。
松浦 陽司
株式会社パッケージ松浦 代表取締役社長
※本連載では、世界でただ一人の“パッケージマーケッター”松浦 陽司氏の著書『売上がグングン伸びるパッケージ戦略 赤字商品が大ヒット商品に化ける!!』から一部を抜粋して、売れるパッケージの秘密について解説します。