このケースも懇意の税理士に相談したことがきっかけで「争族」が起きてしまいました。相続は、素人だけで解決することが難しいため、税理士や弁護士、司法書士などの専門家に相談しながら進めることが一般的です。しかし、こうした専門家が必ずしも相続に詳しいとは限らないのです。 ※本記事は、一般社団法人相続終活専門協会代表理事・江幡吉昭氏の書籍 『プロが教える  相続でモメないための本』(アスコム)より一部を抜粋したものです。

「争族」が起きたあとでは、もう遅い…

公正証書遺言を作成する公証人はどうでしょうか。公証人は遺言作成には非常にありがたい存在ですが、他はまた別です。つまり、「相続関係の仕事を誰かひとりにお任せして、すべてやってもらおう」という発想に無理があるのです。

 

相続にはさまざまな仕事や手続きが必要となるので、本来ならばそれぞれの専門家にそれぞれの仕事を頼むのがよい、ということになります。

 

しかし、多数の専門家に細かく仕事を切り分けて依頼し、全体のマネジメントを行うことは、それこそ素人には難しいでしょう。こうした事情を踏まえた上で、遺言の作成や財産の管理については、早めに「相続全般に詳しい専門家」に相談すればよいのですが……そんな都合のよい専門家をどうやって探せばよいのでしょうか?

 

 

 

【争族を避けるポイント】

1.相続税申告件数の多い税理士を選ぶ

2.それぞれの専門家が何に詳しいのかを知る

3.「争族」対策を熟知している相続の専門家を選ぶ

 

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■「争族」は起きる前に防ぐしかない

 

私は、過去に数多くの「争族」の現場を経験してきました。その経験から導き出した結論は「『争族』が起きたら完全に解決することはない」ということです。

 

どれだけ均等に財産を分けても、全員が100%納得することはありません。誰かが納得しても、誰かが不満を抱きます。最後の手段は、家庭裁判所の審判ですが、その結果が出ても「不満はあるけれど裁判所に従うしかない」という諦めにつながるだけです。精神的なしこりは一生消えません。10年間会話がないとか、ほぼ絶縁状態という家族が少なくありません。

 

つまり、「争族」は起きる前に防ぐしかないのです。くどいようですが、その最も効果的な対策は遺言です。それぞれの事情にマッチした、もっとも効果的な遺言を作成する必要があります。このときの最大の悩みは「相続の内容を相談できる人がいない」ということです。配偶者がいれば相談できるかもしれませんが、子どもに相談するのは基本的にNGです。

 

なぜなら、遺言作成に関わっていた兄弟姉妹がいると後にバレてしまうと、それが「争族」の引き金になるからです。相談相手に困ったときは、遺された家族を守るために、相続の専門家に相談されることをお勧めします。

 

 

江幡 吉昭

一般社団法人相続終活専門協会 代表理事

 

プロが教える 相続でモメないための本

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江幡 吉昭

アスコム

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