女性の「共感脳」と男性の「目的脳」の決定的な違い
いったいどこに違いがあるのか。それは、後者の会話では夫がひたすら妻の話に「共感」している点にあります。
つまり、女性は「うんうん」「そうなんだね」「すごいね」「それは大変だったね」と共感してほしい「共感脳」の持ち主が圧倒的に多いのです。
一方の男性は、会話のなかに目的を探る「目的脳」の持ち主がほとんどです。そのため
オチのない話やコロコロ話題が変わっていくことが苦手。
早稲田大学国際教養学部教授で「恋愛学」の第一人者として知られる森川友義教授は「われわれ人間は狩猟採集時代の遺伝子を引きずっている」と言います。
狩猟採集時代において、男性は狩りを、女性は家を守ることが主な仕事でした。獲物を狩ることに集中しなければ取り逃がしてしまう恐れのあった男性は、必要最低限の会話、つまり「目的を解決するためだけの会話」しかしなかった。それが現代人の遺伝子に影響しているというのです。
一方の女性は、家を守るため常に周囲の人々とコミュニケーションを取っていました。そのため会話を通して人との和を生む「共感脳」が養われていたのです。女性同士が集まって、世間話やうわさ話に興じる「井戸端会議」は、まさに共感脳があるからできること。男性側からすれば「よくそんな終わりのない会話をずっと続けられるなぁ」と思うでしょう。
実はこの井戸端会議の様子は、『東海道中膝栗毛』など数々の古典作品にも登場しています。女性はいつの時代もこの「共感脳」を持って生き抜いてきたことが分かります。
次のような研究報告もあります。解析ツールサービスを提供する「Clicktale」が、ある料理レシピサイトを使って、サイトの巡り方に男女の違いはあるかについて分析しました。
この調査結果によると、女性ユーザーはさまざまなカテゴリーをクリックして多くのページを回遊するのに対し、男性は女性ほどほかのページにアクセスしないことが分かったのです。
つまり男性は「自分が調べたいレシピを知る」という目的が達成された時点で、サイトから離脱する。この結果からも、いかに男性が「目的脳」であるかが分かります。
東野 純彦
東野産婦人科院長