産後の夫婦関係はその先何十年を左右する。日本では「産後うつ」になる女性が30%を超えるが、男性のサポートが得られなかったことも大きな原因だろう。産婦人科院長を務める著者が、夫婦で仲良く過ごすための男性からの働きかけのヒントを伝授する。本連載は、東野産婦人科院長の東野純彦氏の著書『知っておくべき産後の妻のこと』(幻冬舎MC)から一部を抜粋した原稿です。

妻の話の腰を折る、夫の下手くそなコミュニケーション

【とある夫婦の事例】

 

日曜日、久しぶりの買い物から帰ってきた妻が、ソファに座って新聞を読んでいる夫に楽しそうに話しかけます。

「今日ね、買い物に出かけたら大学時代の友達に会っちゃって。でね、カフェに入ってお茶でもしようかってことになったのよ」

「へえ」

夫は、新聞から目をそらすことなく適当な相づちを打っていました。

 

それでも妻はご機嫌だからなのか、相変わらず楽しそうに話を続けます。

「でね、キャラメルなんとかってやつを飲んだんだけど、それがけっこうおいしくて!」

その瞬間、夫はふと顔を上げてちょっと苦笑いしながら一言。

「いや、メニュー名が分からないと味が想像できないんだけど」

 

妻は夫の態度を見て表情が一変し、大げさにため息をつくと低い声でつぶやきました。

「それ今関係ある?」

「え……」

「まあいいや。でね、友達の職場があなたの職場と近かったの!」

妻は気を取り直して話を続け、夫も妻の地雷を踏まないように話を合わせようと頑張ります。

 

「そうなんだ。どのあたり?」

「ほら、あなたの職場の近くの信号を右に曲がるとコンビニがあるじゃない。セブン─イレブン。その隣のビルなんだって!」

夫はそこまで聞いて、また余計なことを言ってしまいました。

「いやいや、右にあるのはセブン─イレブンじゃなくてローソンだよ(笑)」

「……あなたって、すぐそうやって話の腰を折るよね。ほんっと楽しくない!」

妻は大げさにため息をつくと、大きな声でこう言い捨てて部屋を出て行ってしまいました。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

残された夫の心のなかは「えええ~ ⁉  俺、正しいことを言っただけなのに? どこで怒りを買ったんだ?」と、混乱気味です。

次ページ「同調」を意識した会話のキャッチボール

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    東野 純彦

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