日本人だけが知らない「世界トップ大学への進学方法」
日本人の留学状況について、正しい進学方法を取っていないために、「低いレベルの大学にしか留学できない」という、もったいない状況が起きています。しかし、正しい留学方法を押さえて十分に準備をすれば、英語が苦手でも、偏差値50未満の一般高校出身の人でも勝ち取ることができるのです。
それでは、「普通の高校生が世界トップ大学に編入する方法」をご紹介しましょう。
アメリカの大学に進学するには、2つの方法があります。いきなり4年制大学に入る「フレッシュマン(Freshman)入学」と、まず現地の短大(コミカレ)に入り、2年程度そこで学んだ後、4年制大学に編入する「トランスファー(Transfer)」という方法です。後者は、私自身が進学した方法です。
1 フレッシュマン入学(Freshman)
→日本の高校からアメリカの4年制大学へ
2 トランスファー(Transfer)
→日本の高校からアメリカの短大を経て、4年制大学の3年に編入
このトランスファーシステム(Transfer System)は、日本語に訳すと「単位移し換えシステム」、つまり「編入システム」と考えていただければよいでしょう。
世界トップ大学、特にアメリカの州立の名門大学に在籍する学生の3割は、この「トランスファー」で入学していると言われているほど、アメリカでは一般的な方法です。
短大から単位を移し、トップ大学の3年に編入したり、中堅4年制大学で取った単位を移し、トップ大学へ編入したり…。このように、編入制度を活用して、最終的に自分が望む大学を卒業する方法は、アメリカに限らず世界で多くの学生が当たり前にやっていることです。
日本のように同じ大学で4年間過ごすことだけが「普通」ではないのです。世界は多様です。A校に行って、途中からB校に変えるといった単純な移籍だけではなく、A校に在籍しながら、同時にB校やC校に通い、最後に属していた大学で卒業証書をもらうということもあります。
日本人留学生が他国に後れをとってしまう真の理由
そして、実は他国出身の留学生の多くも、この方法でトップ大学卒のキャリアを手にしています。日本ではこの「短大→トップ4年制大学」というルートが、ほとんど知られていません。しかし、同じアジアの国でも、韓国や中国ではその状況は違います。留学生自体の数が圧倒的に多いため、情報が共有されていることもあり、編入を狙って短大に入学してくる学生が多数存在します。
ですから、日本人留学生も入学当初から編入に備えておかなくては、他の学生たちと同等に競うことはできないのです。留学も簡単ではありません。困難はあります。だからこそ備えが大事です。
また、多くの日本の留学あっせん会社の仕事は、「学生を短大に入れること」ですから、その後の編入まで面倒を見てくれることはほぼありません。学生を編入させるための知識や経験はかなり限られています。だからこの「短大→トップ4年制大学」という方法が広まらないのです。
私自身、あっせん業者を使って、何もわからぬままに短大に入りました。そして入学した短大が「たまたま」制度の充実している学校でした。
しかし、このようなラッキーなことが、すべての方に起こるわけではありません。編入の実績がほとんどない短大に入ったり、周囲に有名4年制大学がそもそもないような地域の短大に入ってしまうと、その後の進路を見いだすことが大変難しくなります。
ちなみに、私は留学のあっせんは行っていません。留学したいという方が必要な英語力の指導は行いますが、学校と学生の間を取り持って…ということはしません。提携校があるわけでもないので、提携校に放り込んで終わり、ということもしません。
留学の業界では、学生の希望する学校や、希望に近づける学校に出願させる、というよりも、「紹介料欲しさに学生を提携校へと送り込んで終わり」というケースがよくあります。そうした場合、納得の行く留学ができなかった、という結果になりかねません。だからこそ情報が大事なのです。
本連載で紹介するような編入の情報を知らずに入学し、1年後になんとなく気がついたときには、成績が足りず編入の基準に届かない…。その短大から行ける有名4年制大学が周りにない…。そんなことにならないように、しっかりと情報武装をして編入に臨んでいただきたいと思います。
短大選びは「州」が重要…編入ルートを成功させる鉄則
4年制大学は、同じ州内で学ぶ生徒を優先して合格にします。公立である州立大学は特にそういう傾向があります。4年制大学の経営費の数十パーセントは、その州から何らかの形で提供されたものであるため、同じ州内の生徒を率先して取るという「暗黙のルール」があるからです。ですから、ニューヨークにある4年制大学に入ることが最終目標であれば、ニューヨーク州にある短大に行くのが鉄則です。
他の州の大学に編入できないということはありませんが、上記の理由に加えて、単位の認定が煩雑になるなど、難しくなることが予想されるためおすすめできません。アメリカの州はその州ごとに飲酒や運転免許の解禁年齢など、いろいろな法律も違うくらい独立した存在ですので、教育制度もそれなりに変わっていることを覚えておきたいものです。
地理的に近くにある短大と4年制大学の間にある「個別の結びつきの強さ」のようなものは、日本の推薦入学の「枠の数」と近いと言えます。
日本でも、地元のトップ大学への推薦枠が多いのは地元のトップ高校というケースはよくあると思います。アメリカも同じで、「同じ州の短大」のなかに優秀な学生がいた場合、「同じ州の4年制大学」はその学生を欲しがるのです。
そのため、希望する4年制大学が明確なのであれば、同じ州にある短大に進学し好成績をあげて、4年制大学へ編入すればいいわけです。
もし、まだ最終的に目標とする大学が決まっていないのであれば、私はカリフォルニア州の短大をおすすめします。カリフォルニア州は、全米でもトップ大学が密集している地域です。日本でも有名なUCLA、UCバークレーといった州立大学のトップ校はカリフォルニア州が最も多いですし、スタンフォード大学、通称Caltech(キャルテック)と呼ばれるカリフォルニア工科大学、南カリフォルニア大学、ポモナ大学などの私立のトップ校も状況によっては一緒に狙うことができます。カリフォルニアの短大に入れば、前述した大学への編入が選択肢に入ってくるのです。また、天候がよく過ごしやすい気候なのも、うれしいおまけです。
トップ4年制大学の数自体が少ない州の短大に入ってしまうと、その数少ない大学を皆が目指すことになりますから、その争いも熾烈となります。後の選択肢を広く持ちたいのであれば、その州にあるトップ大学の数を調べておくといいでしょう。
ただ、注意しないといけないのは、「超」が付くほどのトップ大学の中には、編入のような枠を設けていない場合や、「枠」の存在を提示していない場合があることです。どうしても入りたい大学があるのであれば、事前のリサーチは必ずするようにしましょう。
同じ州でも、私立短大より「州立短大」が優位なワケ
同じ州の中の短大を選ぶこと以上に、短大からトップ大学への編入に有利なのは、4年制大学とパイプが太い短大を選ぶことです。
たとえば、私が通っていたLBCCという州立の短大は、同じカリフォルニア州にある4年制大学、UCLA、UCバークレー、UCサンディエゴ、UCディヴィス、UCサンタバーバラなど「UC系列(UC:University of California)」と呼ばれる大学との連携が密でした。同じ州立の学校なので、たとえ短大と4年制大学という違いがあっても非常に太いパイプでつながっていたのです。
一方、「私立短大→州立大学」「州立短大→私立大学」になると、「仲間同士」ではないので編入は比較的難しくなります。別の州への編入が難しくなるのと同じで、こちらも単位の交換が煩雑になるためです。
その他、州立は私立に比べると学費が少なくてすみます。私立は、通常州立の1.5〜2倍以上かかることも少なくありません。そういう意味でも、私は「州立短大→州立の4年制大学」をおすすめしているのです。