米国名門大学を母校にする最短ルートは、系列の米国短大から編入を狙う「トランスファー留学」です。しかし、編入には短大での好成績が条件。本記事では、短大時代に「オールA」の成績を残す単位履修のテクニックを紹介します。※本連載は、株式会社Sapiens Sapiens代表取締役の山内勇樹氏の著書『東大・京大卒に勝てる! 世界のトップ大学に編入する方法 』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

編入狙いの短大留学は「スタートダッシュ」が肝心

前回の記事『英語が苦手でも「米国トップ大学卒」に…編入を狙った短大留学』では、トップ大学への編入学を決めるのは、短大での成績だとお伝えしてきました。ここからは、「オールA」に近い成績を出すための具体的な戦略を紹介していきます。

 

ここでお話しする内容は、短大に通い始めて1年が終わったころに「ああ、そうすれば良かったのか…」と私自身が気づき、今まで学生に指導してきたことです。留学すれば、自身で気づく人もいるかもしれません(気がつかない人ももちろん多いです)。しかし、1年を過ぎたころでは、ほぼ半分の授業は履修してしまっています。その時点で気づいたとしても、挽回はできません。

 

本連載をお読みの皆さんには、留学前にいい成績を取る方法を頭に入れて、いい形でスタートダッシュを切っていただきたいと思います。

 

私がスタートダッシュにこだわるのには、理由があります。今まで500名以上の生徒さんを留学生として送り込んできましたが、なぜか「最初の好成績が、最終的な成績と同じ」であることが多いからです。例えば、最初に低いスコアしか取れなかった学生は、結局低いスコアで終わることが多いのです。

 

短くない2〜3年という期間、好成績を維持するためには、モチベーションを上手に維持していかなければなりません。入学してすぐに好成績を得ることは、そのための大きな助けになることでしょう。

 

「You’re an A student.(あなたは、A学生だね)」

 

これは、成績優秀な人を表す言葉です。「A学生」、つまり「Aしか取らない学生」と周囲から見られると、その期待に応えようとますます頑張るようになります。自分自身の基準値を上げて、「Aを取る学生」の枠に入るためには、最初が肝心なのです。

 

大丈夫です。これから紹介する4つの戦略を実行すれば、英語力が足りなくても、いいスタートダッシュを切れるはずです。

 

講義室(筆者撮影)
UCLAの講堂

 

「最初が肝心」なのは、最初の成績を最後まで引きずるから、という理由だけではありません。トップ大学へ編入申請をするときに、そのトップ大学は「この生徒はうちに入ってうまくやっていけるだろうか」という観点から審査をします。それに対して、最初にいい成績を取っていれば、次のようにアピールすることができるのです。

 

「日本からアメリカに来て最初の学期で、このようにいい成績を修めることができました。言葉や文化は違っても、私には新しい環境に即座に適応する力があります。ですからトップ大学に入っても、すんなりと適応し、成果を出すことができます」

 

このように結果を伴ったアピールには説得力があります。実際にこのフレーズを志望理由書(Personal Statement)に書くと非常に効果的です。スムーズなスタートを切ることができれば、トップ大学への道のりは思った以上に平坦なものになるはずです。

1年目に体育を履修する「すごいメリット」とは?

方法①:1年目は体育を選択

 

必ずAが取れる教科があります。それは体育(PE〔ピーイー〕:Physical Education)です。ですから、最初の学期では必ず体育を履修してください。

 

「体育でAなど取ったことがない」という方でも大丈夫です。なぜなら、アメリカの短大での体育の成績は、「出席」で決まるからです。運動神経は関係ありません。サボらず毎回参加していれば必ずAがもらえます。

 

単位数としては大きくはありません。1学期中、週1時間授業を受けると1単位の取得です。でも、確実にAがもらえるというのは、その単位数以上に精神的にプラスになります。

 

内容は、日本の体育とは随分違います。テニス、サッカー、バスケットボール、バレーボール、ダンス、エアロビクス、水泳等です。テストらしいテストはありません。毎回授業が始まる前と後に出欠を取り、毎回休まずに出ていれば、Aがもらえます。

 

最初の学期で体育を取るメリットは他にもあります。それは「友達ができる」ということです。大教室にいる中で、自然に外国人に声をかけて友達をつくるというのは、英語力がないときにはなかなか難しいものです。スポーツにはそのような壁をさっと乗り越えてしまう力があります。チーム競技であれば、同じチームになった仲間と自然に会話を交わすことになりますし、ダンスなど一緒に息を合わせるスポーツも絆が深まるものです。

 

また、たくさんある競技の中から同じものを選んだというだけで、趣味が一致してる、バックグラウンドが似ているということ。私自身バスケに明け暮れた高校時代を送っていましたし、大好きなコービー・ブライアント(LAレイカーズ)、ティム・ダンカン(サン・アントニオ・スパーズ)など、NBAの選手の話で、知り合った同級生と盛り上がったりしたものです。

 

短大入学前の英語力がまったくなかった頃も、ストリートバスケで仲良くなった地元の若者とつたないながらしゃべったことで、英語に対する苦手意識が少なくなったと思います。スポーツは言葉を交わす友人ができると、授業以外でも英語で会話をする機会が増えるので、英語力がぐっと上がっていきます。この英語力が上がるというのは、非常に大きなメリットです。

 

というのは、最初の段階でアメリカ人の友達ができないと、結局日本人同士でかたまってしまい、英語力が上がらなかった…ということになりかねないからです。そういったことを防ぐ意味でも、いちばん最初の学期での体育の履修は大きな意味があるのです。

親しい仲間がくれる「希少情報」で成績アップが可能に

なぜ私が「最初の学期で体育を取れ」と言っているかというと、好成績につながるメリットでいえば、「友人から情報が得られる」ということがあります。

 

●どの先生がAを出してくれやすいのか

●なかなかAを出さない先生の授業はどれか

●テストの答え方が選択式なのは、どの授業か

●履修している授業では、どんなテストが行われるか

●履修している授業では、過去どんな問題が出たか

 

こういった情報は、どんどん友達に聞いてみましょう。その友達が知らなくても、まわりに聞いてくれたり、先輩に聞いてくれたりと、情報を集めようと行動していれば、自然と集まってくるものです。このような情報を集めることで、効率的にAを積み重ねていくことができるようになるのです。

 

最初の学期で体育を取った学生が、好成績を維持できる傾向が強いのは、この「友人効果」のせいだと思います。

 

同じ授業でかまわないので、2学期目もぜひ体育を履修しましょう。そして人脈を広げ、Aを取ってください。体調を整えてすべて出席しましょう。

 

ちなみに成績に考慮される体育の授業数は2単位までです(1学期中、週1時間の授業を受けると1単位を取得できます)。3単位目からはカウントされません。ですから、成績を上げるために取る体育の数は、2単位までに留めておきましょう。

 

この体育で取ったA自体が成績を上げることになりますし、アメリカで友人をつくり、学生生活に適応するという意味でも大きな意味があるからです。

専攻は何であれ「自分の力を高めていく」ことが大切

どの専攻を取るにしても、スキルや知識など、自分の力を高めていくことが大事です。修了や就職の時点で、学んだことがいかに身についているかが肝心なのです。

 

ランキング上位の大学に編入するという観点から述べると、短大でいかに優秀な成績を修めるかというポイントは極めて重要です。しかし、教育の本質を忘れてはいけません。自らの力を高めることが本質であり、ここで紹介する方法は、それを補足するための小技集のようなものだと思ってください。これさえすれば万事解決、というほど甘くはないのです。

 

また、やる気があれば大丈夫というものでもありません。備えのないまま入学すると、不要なロスや遠回りをしてしまいます。短大の在学期間はあっという間ですから、後から「こうすれば良かった…」と後悔しても遅いのです。工夫できる点はたくさんありますので、事前に知識を身に着けて、効率よく力を高めていきたいですね。

 

「オールA」に近い成績を出すための4つの戦略のうち、②~④については、次回以降で詳述します。
 

 

山内 勇樹

4技能英語講師

東大・京大卒に勝てる! 世界のトップ大学に編入する方法

東大・京大卒に勝てる! 世界のトップ大学に編入する方法

山内 勇樹

ダイヤモンド社

偏差値39でも、一流の子に変わる! 日本の普通の高校生でも世界のトップ大学へ進学できる、いちばん簡単な「抜け道」を紹介。 自身の卒業経験に基づき、これまで500人以上もの学生を世界トップ大学へと導いた著者が明か…

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