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米国の外でドル建債務が増加しています。ドルは基軸通貨であり、貿易などの決済でドルが頻繁に利用されることからニーズが高いのは当然と思われます。そこで、ドル建債務の全体像を把握し、問題点などを見ていきます。
ドル建債務:銀行以外の借り手に対するドル建債務は依然、圧倒的なシェアを誇る
国際決済銀行(BIS)が2020年7月末に20年3月末時点におけるグローバル流動性指標についてメモを公表しました。そこで示されているのはドル建てを中心としたグローバルな債務の増加です。ドル建債務の増加率は前年比で約7%と高く、続いてユーロ建債務が6%となっています(図表1参照)。
なお、伸び率でドル建の債務は他のユーロ建てや円建て債務を上回っていますが、残高でも約12.6兆ドルと他を圧倒しています(20年3月)。同時期のユーロ建債務は約4兆ドル強、日本円は0.5兆ドル程度です。
どこに注目すべきか:ドル建債務、貿易決済、バンクローン、債券
米国の外でドル建債務が増加しています。ドルは基軸通貨であり、貿易などの決済でドルが頻繁に利用されることからニーズが高いのは当然と思われます。そこで、ドル建債務の全体像を把握し、問題点などを見ていきます。
まず、ここで使用しているドル建債務の意味を再確認すると、米国以外で、非銀行の借り手に対する債務としています。図表1は同じような定義で、ドル建、ユーロ建、円建債務の伸び率の推移を示しています。ドル建ての伸びが高いことは、ドル建債務、またはドルへのニーズが高いことを示しています。
貿易の決済では、新興国同士が自国通貨で取引をするよりも、通常はドルを介在させます。例えば、インドとブラジルの貿易取引ではインドルピーとドル、ブラジルレアルとドルの取引を通じて通常決済されるとみられます。
そもそも主要新興国(中国、インド、ブラジルなど)の貿易における決済資金は8割以上がドルとなっています。
なお、欧州向けの貿易ではユーロも利用され、日本企業のユーロ圏向け輸出ではユーロ決済が多いようです。