建築会社の社長である父を尊敬していたはずの長男が、会社を継いだ途端に大暴走!? 本記事は、和田晢幸氏の著書『たった半年で次期社長を育てる方法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

社長となり豹変した長男が「大暴走」を始めた…

結果的に、多角化は失敗に終わり、本業の利益から赤字を補てんすることになりました。本業はまだ順調であったため、経営が傾く事態は逃れましたが、周囲を無視して突っ走った長男の経営方針に対する不信感が根深く残り、従業員の心が離れていってしまいました。

 

S氏も非常にショックを受けるとともに、T氏へ事業を譲った選択が間違いであったかもしれないと自分を責め、もしまたこのようなことが起きたらどうしようと、ストレスを抱えながら毎日を送っています。

 

<トラブルの原因は?>

 

長男であるT氏を、S氏は早くから後継者とみなして、自らの歩みと同じような経験をさせ、教育を施してきました。したがって、2人の職種タイプは合致しています。

 

T氏は父に対して非常に謙虚であり、S氏の望むような経営者になるはずであると誰もが思っていました。

 

ところが実際は、S氏の思いとは真逆といえる拡大路線を無理して推し進め、従業員ともうまくいかなくなってしまいます。なぜそんなことが起きたのか。原因はふたつあります。

 

ひとつは後継者の気負いです。偉大な父の痕を引き継ぐプレッシャーは相当なものであったと予想され、それがT氏の態度を豹変させた大きな要因であったといえます。また、こうしたケースでは、息子は父と比較されることを嫌う傾向があり、父がやらなかったことを実行して武勲を立て、尊敬を集めようともしがちです。

 

もうひとつは、S氏がT氏の経営者タイプを完全に読み誤っていたことです。経営者タイプが違えば、事業に対するアプローチも変わってきますから、いくら前経営者を尊敬していても、あらかじめ合意などがないかぎり、経営方針が変わる可能性があります。

 

そして、S氏はT氏が見守る「貢献型」の事業承継を望みながらも、経営権をすべて渡してしまったため、T氏の暴走を自ら止めることができなくなってしまったのです。

 

では、どうすればよかったのでしょうか?

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たった半年で次期社長を育てる方法

たった半年で次期社長を育てる方法

和田 哲幸

幻冬舎メディアコンサルティング

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