2.購入→売却は10年以内を目安に
物件の購入から売却までのサイクルは、10年以内を目安と考えましょう。下記に理由を解説します。
➀外国人の土地使用権・建物所有権の期限問題
外国人の土地の使用権は50年と説明しましたが、コンドミニアムの場合は「開発許可が受理されてから50年」です。許可受理から完成引渡までは3~4年程度かかるため、新築物件でも引渡時点での物件使用権期間は47年~46年で、そこから10年なら、残りの年数は36~37年となります。もちろん国の経済状況を見ながらではありますが、残された使用期間を考えると、以降は次第に売出し価格が下がっていくことが予想されます。
➁ 建築技術・建築資材の耐久性問題
現時点でのベトナムの建物の多くはRC造(鉄筋コンクリート造)であり、「鉄筋によって補強されたコンクリート」による構造となっています。しかし、建築基準は日本のように厳格ではなく、いろいろな不動産を取り扱ってきた筆者からしても、柱や梁のサイズが小さく感じる物件が多くあります。さらに、壁はレンガと窓枠で構成されているため、強度面の不安もあります。そのほか、外壁の塗装(紫外線の影響もあると思われますが、劣化が早い)と、コンクリートの品質(ひび割れや剥がれが起こるのが早い)など、気になる点も少なくありません。
➂建物修繕費の問題
ベトナムでは、購入時に修繕費が加算されており、日本のような月々の修繕積立金はありません。修繕費は建物購入価格の2%で、たとえば1bedで約1,000万円の物件なら、50年分の修繕費は20万円の計算です。果たしてこの金額が修繕費として十分なのか、考えさせられるところです。
現在の法律を前提に考えると、建築技術や建築資材、建築などの法規制などを勘案した場合、物件の長期保有に伴うリスクは少なくないと思われます。さらにいうなら、建物を取り壊した場合の区分使用権および所有権も、法律で明確にされていないため、これらの点は今後も注視し続ける必要があるでしょう。
したがって、法整備の状況や建築技術・建築資材の品質を見ながら、10年単位で買い替えを繰り返し、資産を増やしていくことをお勧めします。