大切な不動産を「安売り」する売主はいない
まず築浅(3~4年)なのに、売りに出しているオーナーについて。この場合、ほぼ失敗したから売却するのだと考えて間違いありません。
新築にも関わらず、早くも空室だらけで逆ざやになり、家賃収入だけでは借入返済ができない状態です。売主は、赤字物件のアパートを早く手放したくて仕方がない、という心境でしょう。
次に、5年経過後に売却するケース。
取得後5年を経過していれば、譲渡所得税が軽減されますから、売却するのもわからなくはありませんが、それでも堅実に経営できているならわざわざ売る必要などありません。
ぎりぎり赤字は免れましたが、今後建物が古くなる一方であることを考えると、早めに売却してキャピタルをたくさん稼ぎ、いったん利益を確定させたい。それを元手に、また新築を買い、同じ様に売り、繰り返し儲けてみせる。購入物件に、それほど思い入れはない。そのように考えている方が多いでしょう。基本的に、5~6年で売却される方は、不動産投資を株取引のように捉えているように思います。
最後に、10年経った頃に売り出すオーナー様はどうでしょう。
これまで減価償却で節税できたが、そろそろ買い替えタイミングかもしれない。甘い汁は吸ったから、メンテナンス費用がかかる前に新築に買い替えよう。借入返済も進んだため、いま売ればかなりのキャピタルを手にすることができる。多くの方はそのように考えているでしょう。
いずれのケースにおいても、売るほうは、ご自分の利益を最大限に考え行動しているにすぎません。当たり前のことです。大切な不動産を、安売りする方など、いらっしゃいません。