本記事は株式会社財産ドック著『税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再構成したものです。最新の法令・税制等には対応していない場合がございますので、予めご了承ください。

「実は旦那の会社がマズくて…」次女の窮状が判明

そのような心配をしなくてもいいとLさんは言っているのですが、Lさんの奥さんから、以前次女と話した時に、旦那さんの会社が傾きかけていて今後の生活が心配であると漏らしていたことを聞きます。

 

経済状態の違いが遺産分割で揉める要因になることは述べてきましたが、どうにか最低でも遺留分相当の財産を残すことを考えないと危険な気配がしたのです。

 

解決策 生命保険を契約し、保険金受取人を次女にする

 

争いを予防するために次女へ残す財産について考えることにしました。函館の土地は売却できても大した価値にならないことはわかっており、また、自宅の土地は今後の居住地の確保のためにも長女に相続させたいという希望があったので、それ以外で何かを用意しておく必要がありました。

 

そこで、提案したのが生命保険の利用です。自宅や現金などの財産を渡せない代わりに、生命保険金を次女に残して納得してもらおうということです。

 

生命保険なら、月支払いにできるので一気に大きな額が必要ありませんし、1000万円を残したいならあらかじめ1000万円の死亡保険金が手に入る保険を契約しておけば、その金額が間違いなく次女の手元に残るようにできます。

 

相続では生命保険金に非課税枠があるということで、節税対策としてよく利用されるのですが、死亡保険金としてある程度の金額を残したいというときにも利用することができます。例えば、月々1万円の支払いを30年間続けたとすると、360万円を保険料として支払うことになりますが、亡くなった時に1000万円が遺族の手元に残るとなれば、360万円を使っただけで1000万円を残せたことになるのです。このように少ない保険料負担で高額な保険金を得ることをレバレッジ効果と呼びます。

 

Lさんの場合にも財産が限られていましたから、このレバレッジ効果を活用することにしました。これなら月々の保険料の支払いだけ何とか工面できれば、次女に納得してもらえるだけの財産を残せるのです。

 

Lさんは62歳とはいえ、目立った病歴もなく持病もなかったことから、終身保険を契約することができて、月々の支払いもそれほど高くない金額が設定できました。

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