本記事は株式会社財産ドック著『税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再構成したものです。最新の法令・税制等には対応していない場合がございますので、予めご了承ください。

「それでもまあ大丈夫」まだまだ呑気なLさんの謎

Lさんは購入代金として1坪当たり5000円、1000坪ですから500万円を支払っていました。Lさんとしてはそこから価値が上がっているから1000万円くらいになるのではないかと期待していたようですが、1000万円どころか100万円でも買い手がつかないような土地だったのです。

 

問題点2 同居していない次女

 

Lさんは次女へ残す財産の当てがなくなったので、別の財産を考えなくてはなりませんでした。しかしLさん夫婦も長女もなぜか楽観的に構えています。

 

というのも、次女は長女と昔からとても仲が良かったからです。次女が嫁に行ってからはさすがに会う機会は減っていましたが、次女が音大に通っていた時から長女は自慢の次女として可愛がっていましたし、次女もそんな姉を慕っていたそうです。

 

仲が良いのはプラス材料にはなりますが、相続ではどのようなことが起こってもおかしくありませんので、やはり遺産分割についてはしっかりと確認しておくことが必要でした。

 

自宅について調べると、土地はLさん名義になっていますが、建物は長女の旦那さんの名義になっていました。つまり、借地権を設定せずに親の名義の土地の上に建物を建てていたということです。これは使用貸借と呼ばれるもので、第三者に土地を貸す場合には借地権を設定し地代の支払いが発生するのに対して、親族の場合などにはそれらを行わずにそのままにしているという状態です。

 

使用貸借の場合には何が問題になるかというと、相続時にLさんの自用地として評価され、借地権設定による評価減を得られないことです。地価の評価額は高い傾向にあるので、60%、70%の借地権割合を差し引くというのは節税になります。

 

ただし、Lさんの場合には相続税は課せられるほどの財産ではないので、この使用貸借について問題はありませんでした。

 

問題が起こりそうなところといえば、やはり土地の取り合いです。次女が土地を半分寄こせとか、相応の現金を寄こせとか言ってきた場合には、妻と長女夫婦が住んでいる家が危ぶまれることになります。

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