各事業者が同条件で送配電網を利用できるように・・・
発送電分離(法的分離)は、電力システム改革の総仕上げと位置づけられる法律改正です。電力会社の送配電部門を別会社とするもので、資本関係は認められる(持ち株会社も可能)ため、持ち株会社下に発電事業会社、送配電事業会社、小売事業会社を構成する形態になると想定されます。
ただし、以下のような規制をかけることにより、新規参入事業者と電力会社系の発電事業者・小売事業者が同じ条件(イコールフッティング)で送配電網を利用できるようになることが企図されています。
[規制の内容]
●一般送配電事業者/送電事業者が小売電気事業や発電事業を行うことを禁止
●適正な競争関係を確保するため、一般送配電事業者/送電事業者と、そのグループの発電事業者や小売電気事業者などに対し、取締役の兼職禁止などの行為規制を措置
戦後体制から転換、電気事業体制は新たなステージへ
発送電分離には会計分離、法的分離、機能分離、所有権分離の4類型があり、これまで日本では「会計分離」が採用されてきました。
しかし今回の電力システム改革においては、「中立・公平・透明性」「安定供給」「コスト」といったことが慎重に検討され、その結果、「法的分離」が採用されることになりました。
[図表]発送電分離の4類型
第3弾の改革の実施によって、東日本大震災を契機に実施することになった電力システム改革は完了します。第5次電気事業制度改革となるこの改革によって、日本の電気事業体制は、戦後体制から転換し、新たなステージへと向かうことになります。
それでは、電力システム改革の本丸ともいえる第2弾の改革、小売全面自由化によって開かれる低圧部門の電力小売ビジネスについて、次回以降で詳しく見ていきましょう。