本記事は、税理士である関博氏の書籍『家族のトラブルをゼロにする 生前の相続対策』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再構成したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

遺産分割の際に「代償財産」の子細を書かないと…

◆サマリー:不動産の分割には金額と暮らしへの配慮が重要

 

遺産分割には「1 現物分割」「2 換価分割」「3 代償分割」「4 共有分割」の四つの方法があります。

 

一般的には不動産を売却する予定がある場合は「相続税の取得費加算の特例」※を活用した「2 換価分割」と「4 共有分割」が考えられます。逆に売却予定がない場合は「3 代償分割」の選択肢が有利です。これは不動産の相続税評価額が一定の時価を下回ることが多いからです。

 

ただ問題となるのはその代償資金の資金源です。一時にに何千万円もの資金を用意するのは、至難の業です。そこで「生命保険」がしばしば利用されます。

 

代償金を支払う必要のある方を「保険受取人」とする終身保険に加入し、被相続人となる方が「被保険者」となります。保険事故が発生すれば受取人に保険金が支払われますから、その保険金をもって代償分割の資金に充てられるわけです。

 

その場合、相続人全員で作成する「遺産分割協議書」に必ず、代償財産の支払いをする旨、あるいは受ける旨の文面を明記してください。この代償資金そのものが贈与とみなされることになりますので、きちんとした手続きをとることが大切です。

 

※相続税額の取得費加算の特例

相続した土地を相続開始から3年10か月以内(相続開始のあった日の翌日から、その相続に係る相続税の申告書の提出期限の翌日以降3年を経過する日までの間)に売却した場合、土地に課された相続税を取得費に加算できる制度。 

家族のトラブルをゼロにする 生前の相続対策

家族のトラブルをゼロにする 生前の相続対策

関 博

幻冬舎メディアコンサルティング

平成27年1月、改正相続税法が施行されました。中でも基礎控除の4割縮小により、今まで相続税がかからなかった家族も課税されるケースが増えることが話題となっています。うちの家族は仲がよいから大丈夫、あるいは財産が多くは…

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